スプリット・タン/京流




何となく、自宅作業の合間にちょっと気分転換でネットを見る。

刺青とか、自分は入れる予定ねーけど昔は彫り師になりたかったし京さんも入ってるし。
彫る柄の意味とか、そんなのあったりするしネットで検索する。

ま、ネットの世界って何でもあるよな。


意外と京さんの刺青とかも出回ってたりするし。


そんな事を思いながら、ラグの上に座ってる俺の背後のソファに座って新しく買って来たらしい雑誌を見てる京さんを振り返る。


部屋着のジャージを着てる京さんは少しだけしか刺青見えない。


いいよな、服の隙間からチラッと見える刺青とかエロいし。


俺も何処かに入れてーなー。
わからない様に崩して京さんの名前とか。


ピアスも昔開けただけで全然増やしてねーし。
葵さん色々変えたりしてたな。
髪ピンクにしたりとか。


俺もドレッド以降奇抜な髪型してねーし…何かこう…人体改造とかしてーなー…。


あ。


「京さん京さん。見て下さいよコレ」
「…何やねん」
「コレ、凄くないですか」
「あー…?」


見つけた画像を、京さんに見せるべくノーパソを移動させながら。
ソファに座る京さんの膝を軽く叩く。


京さんは鬱陶しそうな声を出しながらも、俺が指差したパソコン画面を覗き込んだ。


「…何これ」
「スプリット・タン。蛇の舌にするヤツですね」


京さんに見せた画像には、両腕に刺青が入った顔面ピアスの舌の先端が別れた海外の女の子の画像。

人体改造も色々なのがあるんだなーって感じ。


「はー…これちゃんと発音出来るん?」
「あぁー…どうなんすかね」
「なん、るきしたいん?こんなん見とるとか」
「まさか!これやっちゃうと歌いにくそうじゃないですか。発音ブレそうで舌ピアスも出来ねーのに」
「舌ピアス?」
「これ、舌ピで穴広げて糸通して裂いていくそうです。それかメスで切るか」
「何やマゾやな」
「めちゃくちゃ痛そうですよね」
「るきやるなら僕に言えや。僕がメスで切ったるから」
「えぇ、だからしませんって」
「おもろそうやから僕はしたい。切りたい」
「絶対嫌です」


京さんだったら本気でやりそう。

俺が痛がってる姿を見て笑いながら切りそう。
何かそう言う姿が用意に想像出来るんですけど京さん。


「あ、でもこれでキスとかフェラしたら新しい感覚になりそうですね」
「…何や淫乱。そないにしたいんか」
「違いま、す…っ!?」


言い終わる前に、京さんは雑誌をソファに置いて俺の腕を掴んで引き上げられた。

されるがまま、京さんの隣のソファに身を沈める。
間髪入れずに京さんがのし掛かって来て、顔が近い。


「エロガキはそんな事ばっか考えとんやなー」
「京、さんも、気持ちぃの好きでしょ」
「好きやけど。あんなグロい舌よりこっちの唇の方がえぇわ」
「ん…ッ」


そう間近で言った京さんに、噛み付く様にキスされた。


あー昔は京さん、口ピやってたんだよなー。
アレも唇に当たって気持ち良かったりしたな。


でもそんなの無くても、京さんの唇は厚くて柔らかくて気持ちイイ。


京さんの首に腕を回してキスを受け入れる。


「んン…っ」


入り込んで来た京さんの舌に、口の中の上部分を舐められて背筋にゾクゾクしたモノが走る。

京さんの舌を追い掛ける様に舌を絡めて。


別に、今からヤろうって言ってるワケじゃねーけど。
京さんとのキス大好きだし。

気持ち良さに、頭がボーッとして来る。


誘われるまま、舌を出して京さんに吸い付かれる感覚に、回してた手で京さんの髪を撫でる。


「い゛…ッぁ…!?」


突然、舌に走った痛みに思わず京さんの身体を押し退けようとしたけど、のし掛かられてるし更に強く抱き締められて無理だった。


ちょ、京さん舌噛まないで痛い…!!


京さんの背中を叩くと、唇が離れて解放される。


「…ッ、きょ、さ…何する…っ」
「るきが舌裂きたいんやったら手伝ったろかなって」
「……噛まれてもあんな風にならないと思うんすけど…」
「せやな」
「舌痛ぇ…」


涙出て来た。

噛まれてヒリヒリする舌をちょっと出して顔を歪めると。


「えぇやん。グダグダ言うな」
「……ッ」


間近にあった京さんの顔がまた近付いて来て、出した舌に吸い付かれた。


さっきとは違う優しいキス。


意地悪した癖に。
こう言うトコ、好き過ぎる。


京さんになら人体改造されんの大歓迎だけど。


京さんに手を下される俺を見て、興奮するこの人も大好きだから。




20110409



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