個人的幸福論/鬼歌



ツアー中、中日でも取材や撮影が入ってたりと有り難い事に忙しかったりするんだけど。
最近ではツアー中のホテルも1人部屋になったりして、いつも一緒にいるから夜ぐらいはって事でいいんだろうなとは思う、けど。

やっぱり不意に寂しくなる訳で。

喜矢武さんや研二っちとゲームする気にもなれなくて。
まぁ、一応恋人って言う名目の鬼龍院さんに会いたいと思ったんです。

と言うか、ツアー中って事もあって全然ヤッてなくて欲求不満なんです、僕。
でもライブ以外にも鬼龍院さんがやる事は多くて、せめて夜はちゃんと寝て欲しいなぁって思ってたから会いに行ったりはしなかったんだけど。

ちょっとだけ。
鬼龍院さんに触るだけでもいいから。


鬼龍院さんの部屋のドアの前に立ってノックをする。
部屋の中で人が動いた気配がして、ドアが開いた。


「…淳くん?どうしたの」
「鬼龍院さん、入ってい?」
「あー、うん。どうぞ」


鬼龍院さんはシャワーを浴びてたのか腰にタオルを巻いて上半身は裸で。
抜けて来たアッシュ系の髪の毛が濡れて色濃くなってた。

猫背の背中を見ながら、招かれた部屋に入る。


「どうしたの、淳くん」
「何、来ちゃダメだった?」
「そう言う訳じゃないけど…」
「ね、鬼龍院さん、ここ座って」
「え?」
「早く」
「えっ、あ、うん」


鬼龍院さんを無理矢理ベッドの脇に座らせると、自分はその前の床に座り込む。
鬼龍院さんの膝を撫でると、足を開かせて腰に巻かれたバスタオルに手をかける。

そしたら、焦ったような鬼龍院さんが僕の手を掴んだ。


「ちょ、淳くん何、どうしたの?」
「最近してなかったでしょ。だから抜いてあげようかなって」
「えぇっ」
「何、それともホテルのペイチャンネル観て自分でしてたの?」
「そ、れは、観てたけど…」
「鬼龍院さんサイテー」
「だって色んなAVが観えるんだよ…!」
「………」


冷めた目で鬼龍院さんを見上げながら、掴まれた手を振り払って露になった股間に視線を移す。
萎えたままでも大きい鬼龍院さんのを掴んで指で緩く擦る。

何か言いたそうな顔をした鬼龍院さんは、もう僕をじっと見下ろすだけで。
ゆっくりと扱いていくと、段々硬度が増していく。


元々、口淫するのが好きな僕は、久々な鬼龍院さんの陰茎を見ただけで口の中が唾液で溢れる。

吸い寄せられる様に顔を寄せて勃ち上がったソレに頬擦りをして見上げると、鬼龍院さんが息を飲んだのが見えた。

シャワーを浴びたからか、清潔な匂いがする。
鬼龍院さん自身の匂いがしないのがちょっと残念だけど。

先端からぷくっと先走りに吸い付いて、ぷりぷりに腫れたカリに舌を這わしてねぶる。


そのまま先端から根元へと舌を巻き付ける様に舐めて、ちゅっと吸い付く。
すべすべした肌は舌触りが気持ち良い。


「はぁ、淳くん…」
「きりゅーいんさん、気持ちい?」
「うん、気持ち良いよ、淳くん…」
「よかった」


竿を扱きながら、ちゅっと袋に吸い付いて鬼龍院さんを見上げると息を吐いた鬼龍院さんが僕を見下ろして笑い掛ける。

丁寧に舐め回して、カタくなった陰茎に吸い付きながらゆっくり口内に収めていく。

唇と舌で扱きながら、段々と速度を早める。
自然に唾液が溢れて来て濡れた音が聞こえて来た。


えずくギリギリの喉の奥まで咥え込んで、締めながら舌で愛撫する。
でも僕は嘔吐感よりも大きいので奥を突かれる事が快感に繋がるから、しゃぶるのが好きな理由の一つなんだけど。


「ん…ッ、淳くん…気持ちぃ…」
「…っふ…」


鬼龍院さんの吐息混じりの言葉に気分を良くして、ゆっくり頭を動かしながら味わう様にして舐めしゃぶる。


だって圧倒的な僕が得意な事ってこんな事しか無いし。
大好きな鬼龍院さんのを愛撫してるだけでも幸せ。

気持ち良くなってくれたら、それだけで嬉しい。


ギリギリ先端まで抜いて、吸い付きながら根元まで咥え込む。


感じた鬼龍院さんに頭をぐっと掴まれて、ただでさえ口の中にいっぱいいっぱいの物が喉の奥を突いて、ビクッと震える。
陰毛に鼻が埋まるとソープのいい匂いがしたなって場違いな事も考える。


「んン…ッ」
「あっ、ごめ、淳くん…」
「……」


鬼龍院さんが慌てて謝って、僕の髪を撫でたけど。
鬼龍院さんのおっきいので喉奥の粘膜を突かれると苦しいけど気持ち良くて。

生理的な物で視界が滲みながら、顔を見上げて目を細めてまた頭を動かす。

じゅるじゅると唾液を啜る音をさせながら舌を動かすと、口の中から溢れた涎が顎を伝う。

それにも構わず、竿を扱きながら頬をヘコませて吸い付き、一定のリズムで頭を動かす。


時おり鬼龍院さんの顔を見上げると、じっと僕を見下ろしてて。
口の中で舌を動かしながらディープスロート。


「じゅんく、…も、イきそ…っ」
「ぅン…、」


鬼龍院さんが僕の髪を掴んで言ったその声に、ラストスパートで更に激しく頭を上下に動かして。
同時に手で扱き上げる。


口の中の陰茎が硬度を増して、ビクビク跳ねるとそのまま射精した。
体温と同じ筈なのに、口の中に出されたそれはやたら熱く感じる。

全て出し切る様に手を動かして搾って、吸い上げながら口から出す。
唾液と精液が混ざって、溢れそうになるのを手で押さえる。


「…は、淳くん、そのまま口開けて…」
「……」


鬼龍院さんに言われた通り、精液を口に溜めたまま見せつける様に口を開けて溢さない様に舌を出す。


「ありがと。飲んでいいよ」
「ん、」


鬼龍院さんに見下ろされながら、許可をもらって2、3回に分けて喉を動かして精液を飲み込む。
飲み込んだ証拠に舌を出して唇を舐める様を、鬼龍院さんは満足そうに笑って僕の頭を撫でてくれたから。

それが嬉しくて目を細める。


鬼龍院さんが満足してくれたら僕も満足。
ちょっと身体が疼くけど、それは部屋に帰ってどうにでも出来るし。


「…はー…、もう、いきなりどうしたの淳くん」
「ん、気持ち良くなかった?」
「気持ち良かった、けど」
「じゃ、いいじゃん。お邪魔して御免ね」
「え、ちょっと、」


手の甲で口元を軽く拭って、にっこり笑って立ち上がると。
慌てて鬼龍院さんが僕の腕を掴んだ。


「何で帰ろうとしてんの」
「え、だって鬼龍院さんイッたし、もう用ないし」
「いやいやいや、ね。淳くん。ちょっと待って」
「…何?」
「淳くん、僕たち恋人同士だよね?」
「まぁ、」
「じゃいきなり来てそんな僕だけ抜いてハイさよならって無くない?」
「…だってツアー中だし鬼龍院さん僕より何倍も忙しいし、僕が勝手にヤリたくなっただけだもん。そんな迷惑かけたくないじゃん」
「うん。でもさ、恋人にそんな気遣い違うよ。淳くんが僕にしてくれた様に、僕も淳くんにしたいよ」
「鬼龍院さん…」
「おいで」
「……」


そう言って僕に笑いかけるその笑顔はいつもの如く気持ち悪い筈なのに。
ちょっときゅんってしちゃった台詞に悪態を吐く事も出来ずに、呼ばれて素直に鬼龍院さんの隣に座る。


「恋人なんだから、こう言う事は一緒にしようよ、ね」
「…でも、ライブで疲れてて迷惑じゃない?」
「全然。寧ろ僕がこう言うの疎くて、我慢させちゃってたね、御免」
「…んーん」
「僕こんなだから、ちゃんと口で言って欲しいな。ちょっと、仕事詰め込んじゃってる事もあるかもしんないけど、2人でしたいな、こう言う事は」
「…うん」


そう言って、ちょっと戸惑いながらキスして来た鬼龍院さんに、大人しく目を閉じた。


貰える事に、慣れて無いの、僕。
そんな贅沢言えないって思ってるから。


でも今、鬼龍院さんの熱は本物で幸せを噛み締めて、彼の熱に溺れた。




20120607



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