バスタイム/玲流




明かりを消した風呂場で、アロマキャンドルを焚いて蝋燭の明るさだけの室内で、れいたと2人で風呂に入る。
基本暗い室内が好きな俺はこう言うムードがある雰囲気が好きだけど、れいたはあんまわかんねーみたいで。


生活感があるのが嫌いな俺は、風呂場も拘って綺麗に整頓されてる中。
自分とれいたの周りをアロマの灯りが照らす。


今日はバニラの匂い。
糞甘いアロマの匂いが充満した浴室で、れいたと2人で乳白色の入浴剤が入った湯に浸かる。
れいたの足の間に入って、胸元に背中を預ける格好でぼんやり蝋燭の明かりを眺めながら、会話をする。

たまにするこう言うスキンシップすんのもいいね。

いつもアロマ付きで1人で入ってる風呂も、れいたと一緒だとまた雰囲気が違っていい。
れいたの心地良い低い声を耳元で聞きながら、れいたの膝に手を置いてゆったりとした時間を過ごす。


「ルキ、何か今日の甘過ぎね?」
「あー?匂い?そう?」
「うん」
「れいたどんな匂いが好きなんだよ」
「…んー…アロマとかよくわかんねーけど…爽やか系?」
「ふはっ、れいたが爽やか系とか。似合わねー」
「うるせぇなコラ」
「ちょっ、擽ってぇよ!わかったわかった。何か爽やかで良い匂い探しておくって」
「つってもルキ、アロマ大量に持ってんだろ」
「好きなんだよ、こう言うの」


れいたが湯の中で俺の脇腹を擽るのを身体を捩って逃げながら、その手を捕まえる。
湯が揺れて笑いながられいたの首筋に頭を擦り付ける。


「風呂から出たら『24』の続き観る?」
「アレなー、観出したら止まんねーんだけど」
「寝不足になるよね、確実に」
「いつ終わんの」
「れいたが俺が観ろっつってんのにリアルタイムで観ねーからだろ」
「そん時は興味無かったんだって」
「オチ言うぞコラ」
「それは勘弁」
「まぁ俺も昔のシーズンのヤツ観たけど内容忘れ気味だし、また観んのも楽しいけどなー」


湯の中かられいたの手を出すとその手を弄ぶ。
ベーシストのごつごつした綺麗な指、それを撫でてると湯かられいたが腕を持ち上げて筋肉質なれいたの腕が俺の首に回る。

そのまま顎に手を掛けられて、無理矢理れいたの方に向かされる。
顔が近付いて来たから自然と目を閉じる、けど、キスされると思ってたのに一切触れない事に、閉じてた目を開けると。
間近にあるれいたの顔が意地悪く笑ってたのが見えて、からかわれた事がわかって抗議の声を上げようとした瞬間、唇を塞がれる様にキスされた。


「……、ムカつく、お前」
「ルキが可愛いから、つい」
「有り得ねぇ」
「っ、ちょ、やめろって」


唇に吸い付かれるだけの軽いキスで、すぐに離されたソレ。
からかわれた事に腹立つから、身体を起こしてちょっと振り向いてれいたを目を細めて見やる。

れいたは楽しそうに笑って俺を見てるから、湯を指で弾いてれいたの顔に浴びせてやる。
モロに口元にかかったれいたは眉を寄せて手でガードした。

あ、意外に楽しいって思って何回かそれをやると、業を煮やしたれいたが俺の顔を両手でガシッと掴んだ。

いきなりの事でビックリして、一瞬固まる。


「なーにやってんのかなー、ルキさんはよー」
「ッ、痛ぇよバカ。何すんだよ」


髪を洗って、オールバックにしてるれいたの顔が近付いて来て額と額をゴツ、と合わせられた。
そのままグリグリされて若干痛ぇ。

から、俺も負けじと押し返す。


「…ははっ、何やってんの俺ら」
「バカみてぇだな」
「けどそこが楽しい」
「わかる」


お互いの顔を間近で見て、俺が耐え切れず吹き出す。
そしたられいたが掴んでた俺の顔を離して、一緒に笑う。

またれいたに背中を預ける体勢を取って、大人しく湯に浸かった。


アロマキャンドルでどんなにムードを作っても、バカばっかする俺ら。
成長してる、けど成長してない部分もある。

そんなれいたと過ごす時間が、一番、楽しい。




20120623



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