A KNOT OF 90分×4/京流




疲れた…。
京さんが今日は帰れねぇか、午前様になるっつってたから仕事終わりに買い物。
久々に服とか大量に買った気がする。

京さんがいねぇ家に、早く帰っても意味ねぇし。

玄関を開けると、真っ暗。
京さん早く帰って来ねぇかなー…。

取り敢えず電気点けて暖房つけて、買ったモンの荷物をソファに置く。
今日は京さんのDVDも買えたし、満足。

早く見てぇー。
けど、買ったモン片付けなきゃなァ…また服買ったとか、京さんに買い過ぎって突っ込まれる。

ソファに座って、服の入った紙袋から取り出す。
何かこんな事してんのって、女みてぇで微妙だな。
まぁいいや。
タグが無いのとか確認して、袋から取り出した服をクローゼットにしまいに行く。
ついでに自分の上着も掛けて。


腹減ったけど、京さんいねぇと飯作る気しねぇしなぁ…。

そう思いながらキッチンへ行き冷蔵庫を開けて物色。
…すぐ食えるモンねぇなー…もういいや。

風呂入ろ。

早くDVD見てぇしって事で、疲れた身体を引きずりながら風呂場へ。
めんどくさいからシャワー。

もう京さんがいねぇと、いつもやってる事が面倒で仕方ねぇ。
あぁー会いてぇなぁー…早く帰って来て下さーい。


シャワーを浴びて、適当にスウェット着てガシガシと頭を拭きながら出て、冷蔵庫から小岩井りんごのペットボトルを取り出していそいそとリビングへ。

今日の買い物のメイン。
新しく発売されたDIRのDVD『A KNOT OF』を袋から取り出す。

電気を消してDVDデッキにセット。
まぁ実際、FC限定DVDとか全部持ってんだけど。
買うだろ。
買っちゃうだろ。


テレビの光だけの暗い部屋の中。

眼鏡を掛けて、ガン見。

何度も見た京さんが映し出される。
すっげぇ、好き。
歌ってる京さん。
ダイジェストで、色んなライブ会場のライブが映って、自分が行けなかった海外のが羨ましく思う。

大画面の京さんと、大音響。
やっぱり京さんの歌声は最高。
大好き。
愛してます。

画面に齧り付く様に間近で見る。

叫ぶ京さん。
血を出す京さん。


本当に、絶対的存在。


全部で90分のこの映像。
食い入る様に見てたらあっと言う間に終わった。
から、もう一回。

京さんがいる時に、そんな頻繁にDVD見れねぇし怒られるし。

そう思って、もう一回ガン見。
いくら見ても飽きねぇから。













「んー…」

あれ?
何か、部屋ん中明るいんだけど。
つーか何。
俺DVD見てたんじゃ無かったっけ?
記憶がぶっ飛んでんだけど。

え、寝ちゃった?

床に寝転がった視界で、ワケがわかんねぇ感じに視線だけをきょろきょろ動かす。

…ってか。

俺の身体、毛布掛かってんだけど。
何で?

不意に思った事は。


バッと勢い良く起き上がる。
だって、俺、毛布とか持って来て無かったし。


「なん、起きたん。ほなおやすみ」
「きょ…ッ」

京さん…!

え、いつ帰って来たんですか。
気付かなかった。


風呂から上がったらしい、ジャージ姿の京さんは起き上がった俺を一瞥すると寝室へと向かう姿。

窓の外は朝。

朝に帰って来たんですか。
って言うか、毛布掛けてくれたの京さんですよね。

嬉しくて笑みが零れて、寝室に向かった京さんを追い掛ける。
その毛布を持って。


広いベッドの上。
ちゃんと俺のスペース空けて寝転ぶ京さん。
大好き。


「京さん!」
「…黙れ死ね。僕は眠いんや」
「有難う御座居ます毛布!」
「別に。床に毛布落としただけやし」
「京さーん」
「くっつくなウザい」
「お帰りなさい。お疲れ様です。好き好き愛してます」
「はいはい。あんなトコで寝るなんてアホなんちゃうんか」


京さんが寝転ぶ横に入り込み、くっつく。
振り払って来ねぇから、そのままで。

あ、そう言えば。
確かDVDを4回目見てる途中で意識が無くなった気がする。
まぁ、DVDは後で片付けよう。


背中を向けた京さんに額を擦り寄せる。
京さんの匂いが鼻腔が擽り、匂いだけで幸せな気分になれる。

俺も寝よ。

今日仕事あったっけ?
うん、まぁ、いいや。
誰かから連絡来るだろ。
今は京さんと寝んのが大事。


毛布と、京さんの体温と、その温かさに目を瞑った。

舌打ち聞こえるけど、嫌なら振り払うもんな、京さん。

映像も、本物も、大好きだ。




20090204


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