それは無関心に程遠い事/敏京




「京君、そんなお菓子ばっか食ってると太るよ」
「敏弥こそ、んなビールばっか飲みよったらビールっ腹になんで」
「ならねーよ」
「僕も太らんし」


俺が部屋で晩酌してると、京君はそれに付き合ってお菓子食ってる。
…前太った癖に。
駄菓子好きだよね、ホント。

一口ビールを煽る。


「ってか、そんなにチョコバットとか好き?」
「うん。敏弥もようそんなモン飲めるなぁ」
「え、ビール?」
「苦いだけやん、そんなん」
「そうかなぁ…それが美味しいんだって」
「えー…」


新しいチョコバットの個包装の袋を開けながら顔を歪めて俺の手に持つビールを見やる京君。
ってか、そんなお菓子箱買いして…マジで太るって。


「京君も飲んでみなよ」
「嫌や」
「味覚って変わるモンじゃん。だから美味しく感じるかもよ?」
「うーん…」
「ね?」


ビールの缶を京君に差し出すと、お菓子食ってたゴミをテーブルに置いて手を伸ばす。
ゆっくり口を付ける様が、何だか可愛くて可笑しかった。
そんな、怖いモンじゃねぇから。


「うぇッ、やっぱ不味いやん!」
「えぇー?」
「何か麦!麦食べよるみたいやん!!」
「あー…材料麦だしね」
「不味かった」
「美味しいのになぁ…」


京君が顔を歪めてビールの缶を押し付けて来た。
そんなに不味いかなぁ〜…。
舌を出して、ホントに不味そうにしてる京君は、俺の酒の肴にしてた小さいジャーキーを食べてる。
口直しっぽい。
それ味濃いから美味しいよね。


「別にビール飲めんでもいいし」
「居酒屋でも烏龍茶飲んでるもんね」
「うっさい」
「京君が飲んだらどうなるか気になるけど」
「飲まんから知らん」
「残念だなぁ〜」
「んッ」


京君に近づいて、ちゅっと唇にキスをする。


「いきなり何すんねん酔っ払い」
「やー、キスしたら京君も一緒に酔っ払うかな〜って」
「んゃ、やめぇやー酒臭いから嫌や!」
「ッで!!」


まだキスして、舌入れようかなって時に京君に頭を叩かれた。


「ってぇなー、暴力反対!」
「ハン、躾やろ躾。僕暴力嫌いやしぃー」
「躾って俺犬じゃねぇし」
「犬ちゃうなら何やねん」
「京君の恋人」
「はッ」
「はいはい、照れ隠しだよね、京君は大好きだからね」
「うっさいわ酔っ払い」


京君に抱き付く様にひっつくと、嫌がって手で顔押し退けられる。
けど、頑張って離さない。
力は俺の方があるからね。
絶対離してやんない。


「酔っ払っとる敏弥ウザイ」
「俺は大好き」


























--------------



もうすぐライブが始まる。
何となくあの時の2人が気になって、買った雑誌。
普段はこんなん買わねぇけど。
メイクもバッチリで、後は開演を待つだけ。


あの時から。
変わったね、京君。
ちょっとつつけば酒は煽るし、見つけた貢ぎの子にも暴力を振るう。

その暴力の対象が載ってる雑誌を見てると、思わず口角が上がる。


「…なん、それ。見慣れん雑誌やな」
「あ、薫君。これねーインディーズばっか載ってる雑誌だからね」
「ふーん。珍しいやん。そんなん読むん」
「うん。だってこれ、京君の貢ぎが載ってるから」
「………うん?」


雑誌見てたら、薫君が話し掛けて来た。
だから、正直に言ってみる。


「ほら、この子。この子が京君の貢ぎだよ」
「………」


薫君の何とも言えない顔。
そうだよね。
御免ね。
色々と。


京君の私生活に変化をもたらしたのは、俺で。
今は後悔はして無いけど。

ソレは暴力と言うよりも、京君の叫び。
何とでも、代わりの名前は付けられる行為。

愛が有るか無いかだけ。

何処か、他人事。
京君の考えてる事は、わかるから。

薫君に経緯を喋りながら、ぼんやりと考えた。
貢ぎの子。
京君。

何で俺は、こんなに気になるんだろうな。




20090201


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