Beautiful Name




GS3*新名旬平



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休日。昼下がり。雑誌でチェックした新しいカフェ。目の前には可愛い可愛いオレのカノジョ。こんだけの要素が集まっているのにオレの気分はいまいち晴れない。


「ねぇ、新名くん。聞いてる?」


ちょっと拗ねた顔も可愛いカノジョは元々は高校の先輩。カノジョが卒業する時に告って付き合ったから…もう五年か。マジ早いなぁ。オレも落ち着く訳だよなぁ。


「新名くんってば!」


「聞いてますよーって」


大事な大事なカノジョの話を聞いてないはずがない。ただわざとそっけなくしてるんだ。それにはちゃんと理由がある。オレが意味もなく冷たくするわけないだろ?すっげー好きなんだから。だからこそ気になることもある。


そう。今だにこの人はオレのことを「新名くん」って呼ぶ。何回名前で呼んでよって言ったってダメ。その瞬間だけ名前で呼んでもすぐ戻る。小さいことかもしんないけどそれが気になる小さい男なのオレは!


高校を卒業して二年専門学校へ行ってから働いて二年。オレなりにオトナになったつもり。一足先に大人になっていくアンタに追いつきたくて。そして追い越したくて。アンタにオレの後を安心してついて来て欲しくて。


なのにいつまでも高校の時の呼び名で呼ばれるといつまでも後輩っぽいっつーかなんつーか。アンタの中でオレの存在が大きくなってないのかなって思っちゃうし。とにかく嫌なんだよ!だから今日こそ言うって決めた。


「なあ。いつまで新名くんって呼ぶ気?」


あ、と口に手を当てる仕草が猛烈に可愛い。いつもならここで許しちゃうとこだけど今日はダメ。


「アンタも新名になればいいんだよ。そしたら名前で呼ばなきゃいけなくなる。違う?」


三日三晩考え抜いた台詞を今思い付いたように言った。これも三日三晩練習したんだぜ?


目の前に置かれた小さな箱を見て目を丸くしてるのを見てすっげー満ち足りた気分になった。今日という日のためにオレは苗字で呼ばれてたんだな、と思える単純なオレはやっぱりまだまだガキなのかも。


まだ頼りないとこもあるかもしれないけどオレ、アンタのためなら死に物狂いで頑張れるよ。だから長い目で見てついてきてくれよ。な?

















fin.






Apr.23のきらりさまから頂いた相互記念リク話です☆こんなもんですが勘弁してくださいね(´:ω;`)これからもよろしくお願いします!!



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