俺の隣で寝ているコイツは誰だ?
昨日は世良が家に来て、飯食って、風呂入って、ちょっとテレビ見て、明日も練習があるからって並んで寝ただけだ。
で、俺の隣で寝ているコイツは誰だ?
俺は寝起きはいい方なんだけど寝ぼけてんのか。柄にもなく頬をつねってみる。痛い。あぁ、夢じゃないんだ。そうだ今日も練習があるじゃないか。
それで、俺の隣で寝ているコイツは、この赤ん坊は誰なんだ?
赤ん坊をじっと見てみる。
見覚えがあるスエット。
見覚えがある髪色。
見覚えがある寝顔。
あぁ、昨夜に頭を撫でてやったらぶっさいくな顔して笑ってたっけ。
いやいや、そこじゃない。考えるのはそこじゃない。よし、もう一度頬をつねってみよう。痛い。 もういちど、隣のコイツを見てみる。あぁ、昨日見たまんまだ。
身体のサイズ以外は。
そうかわかった。
丹波か石神の仕込みだな。手の込んだ事しやがって。どこの子だ。ヤツら今度こそはタダじゃおけねぇ。
「って、馬鹿か俺は!!!」
このマンションはオートロックだし、それに世良の手引きがあったとしても世良が起きれば俺は気付く。
やっぱりそうなのか。
こんな事って現実にあるんだな…。
認めたくないが認めざるを得ない状況に頭を抱える。
視線に気が付いて赤ん坊を見る。
大きな目が俺を見ていた。
笑った顔がそっくりだ。
…そっくり?
いや、違うか。
「お前、世良だろ?」
そして、赤ん坊は笑った。
サクセラです。
悪ふざけです。
続きます。