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 翌月一日。
 大安吉日のその日。
 大倉本家の座敷にずらりと集まったのは、大倉組幹部連および元辰巳組幹部連、それに関東双勇会総長、組長、本部長。
 総長を差し置いて上座に座る二人に、総長自らが杯を持たせ酒を注ぐ。

「本日この時より、関東双勇会は大倉組組長に大倉七瀬を認め、かつ、大倉七瀬と横内晃歳の兄弟杯を見届けた。皆の者、すべからく良く尽くすよう」

 ははっ、と答える全員の声は、広くは無い座敷に響き渡る。

 満足そうにそれを眺め、双勇会総長は本日の主役の二人を見やって、にやりと笑った。

「今日がお前たちの祝言だ。二人力を合わせて組を守り立て、俺の役に立ってくれよ」

「過分なるお言葉なれど、この身を捧げまして、力の限りお仕え申上げます」

 新しく大倉組組長となった七瀬の言葉に、総長は「似合わねぇ!」と思いっきり爆笑し、隣で晃歳も苦笑を浮かべた。
 先に堅苦しさを取り払った総長に合わせて、七瀬はぷっと頬を膨らませる。

「もうっ! たまには最後まで総長らしくしてくださいよ」

「ははっ。七瀬もな。ちったぁ組長らしく威厳持てよ」

「無理です。それは、晃歳に任せました」

「お、まさしく適材適所。頑張れよ、旦那」

「……努力さしていただきます」

 からかうように笑う総長に、一歩も引かず言い返す七瀬。
 二人のらしいやり取りに苦笑を浮かべ、ちょっと早まったかなぁなどと本気でもないことをボヤく晃歳だった。



おしまい





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