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唇へのキスは苦しいのなら、代わりに額にも頬にもキスをして、そっと胸の飾りに触れる。
少し弾いただけでも苦しそうだったセレは、それが性感帯だと無意識に訴えていた。
男など抱いたこともないゴルトだが、所詮同じ人間だ。そう変わらないのだろう。
軽い刺激でも固く尖るそれに吸い付き、手は性急にセレの下腹部へと伸びていった。
腰紐を解いて、焦らす手間すら惜しみ、下着ごと服を取り去る。
ゴルトの手が触れるたびに、セレの喉が悲鳴を発するのが、可哀想で耳を塞ぎたくなる。
「セレ。声を我慢するな。素直に声を上げた方が楽だぞ」
今までの経験上、声を堪えるのが普通な状態になっているのだろう。
何しろ、人質をとられ、身の自由を奪われた上での行為に、身体が勝手に快感を覚えてしまうのだから、セレほどの男が屈辱を覚えないはずがない。
まぁ、それを言うなら、薬で強制的に快感を引きずり出されている今現在も、大して状況は変わらないのだが。
「……や……だ……」
「大丈夫。薬がそうさせるだけだ。何もかも、薬のせい。ノーカウントだよ。わかるだろ?」
素直にゴルトの言葉を聞いてくれる人でないことは重々承知している。
だが、それでもそう言ってやるより他に、今の状況を打開する術など思いつかない。
セレが頑なに拒否するのなら、自然にそうなってしまうほどに追い立ててやるのが、唯一ゴルトにできる道だ。
意外に厚い胸に申し訳なさそうに存在している紅色の果実に吸い付き、強く吸い上げる。
一方で、右の手でセレの下腹部で苦しそうに震えている肉塊を握り、左の手でセレを落ち着かせるように頭や頬を撫でる。
右の手で軽く扱いてやるだけで、セレの身体がビクリと強く跳ねた。
「やぁっ!」
「あぁ。良い声だ。もっと聞かせてくれ」
掠れた少し高めの声が、オクターブ上げた音域で、嬌声を上げるのを、ゴルトは極力嬉しそうな声色で、誉めて、促した。
セレの自尊心を傷つけているのはわかっている。
だが、この状況だ。早く彼の理性を奪ってやりたかった。
我を忘れてくれれば、それ以上傷つかないはずなのだから。
ゴルトの嬉しそうな声に促されるように、喉の奥に押し込められていた悲鳴が口をつくようになる。
その声を聞きながら、ゴルトはそれが悲鳴だとわかるからこそ、セレを愛撫する手を強めていく。
早く、快感に溺れてしまえ。
まだ若くハリのある肌に手を滑らせ、自分の右手に息づくその神聖な場所に口付け、口に含み。
滑る口腔内に迎え入れられた途端、どう聞いても悲鳴でしかない声を上げながら、セレは大きく背を逸らし、望んでもいない絶頂に至り、同時に涙を流していた。
「ごめんな、セレ。愛してるよ」
口の中に溢れるほどの若い蜜をすべて飲み干して、ゴルトは静かに涙を流して放心するセレを抱きしめ、その耳に囁いた。
狂乱の一時は、これからが本番だった。
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