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 その夜、俺は夢を見た。夢の中でこれは夢だとわかったから、多分夢なのだ。

 俺は逃げていた。竹刀か木刀か、鉄パイプでもただの棒でも良い。何かあればあんな素人に負けやしないのに、ここにはそんなものは何もなくて。
 古い病院の中らしい。部屋の中にはベッドがたくさんあって、でも誰もいなくて薄暗い。でも、部屋の中に入ったら行き止まりで、なら廊下を走っていた方がまだましだ。
 白い廊下がどこまでも、俺の前に続いている。その向こうには非常口の灯があって、安っぽいドアが見える。
 逃げながら後ろを振り返ると、五人の男が気味の悪い笑いを浮かべて追いかけてくる。本気になればすぐにでも追いつくだろうに、まるで追い詰めるのを楽しんでいるみたいだ。ある一定の距離を保って追いかけてくる。
 前を見たら、見覚えのある男の人が大きく手を広げて立ちふさがっていた。追いかけてくる男たちと、同じ顔つき、同じ目。同じ笑い方。

 寿士さんっ!?

 急ブレーキをかける。視点が低い。やけにまわりの男たちが大きく見える。前にも後ろにも逃げ場はなくて、病室に逃げ込んだ。そこしか行けるところがなかったから。
 左手の扉。右手は壁だったから。無我夢中で走り込んだ。全速力で、窓に駆け寄る。もしここが一階だったら、二階でも良い、下に飛び降りられる。
 駆け寄って……呆然と立ち尽くした。三階、いや、四階か。高すぎる。

「そろそろ追い駆けっこも終わりにしようか、友也くん」

「……せ、せんせ……」

 いやっ。恐いっ。滝川先生の目が、恐い。

「たす…けて……」

 すがる目で先生を見つめる。なのに、先生は余裕綽綽で、首を横に振った。そして、あきらめろ、と。いつもの優しい声で言うのだ。
 他の五人の男たちの手が僕に伸びてくる。逃げたいのに、後ろは壁で、窓で、角に追い込まれていて。飛び降りたらきっと死んじゃうし、逃げないで言うとおりにしたら、痛いことはあっても死んじゃうことはないだろうし。なんて、打算してる場合じゃない。

「いやっ。嫌だ、嫌……。いやあーっ」

 涙流してばたばた暴れたら、お腹と頭を殴られた。目の前が真っ暗になった。

 次に気がついたとき、両手は頭の上で縛られていて、裸でぼろぼろのベッドの上に転がされていた。叩かれたところだろう。ほっぺたが痛い。

「おはよう、友也くん」

 いつもの優しい顔が、恐く感じる。僕の縛られた手はベッドに固定されていて、足を大きく広げられて押さえつけられていた。
 先生の指が僕のお尻の穴に無理矢理入っていく。ぬるぬるしてて、冷たくて、気持ち悪い。嫌だったけど、身体も押さえつけられてて動けなくて、逃げられない。
 先生の指が僕の中で動くのがわかる。それに合わせるように、僕の身体が勝手にぴくぴく跳ねた。なんか、恐い。それに、気持ち悪い……。

「指だけで感じちゃうの? 友也くんってスケベだったんだねえ」

 くっくっとまわりから人の笑い声が聞こえる。恥ずかしくって多分顔が真っ赤になった。先生の指が増えて、ぐるっとかきまぜられて、僕は思わず声を上げた。

「ああんっ」

 悲鳴を上げたと思ったのに。自分でも信じられない、女の子みたいに高い声。先生が楽しそうに笑った。
 僕のお尻をいじってるのと違う手で、器用にズボンを脱いで、パンツも脱いで、僕の上に逆さまにまたがる。僕の目の前に先生の大きなおチンチンがぶら下がっている。先生がそれを、僕の口の中に押し込んだ。大きくて、僕の口には入らないのに、無理矢理。

「舐めて、友也くん」

 いやいやするように首を振ったら、まわりから手が伸びてきて僕の顔を押さえつけた。先生のが僕の喉まで入ってくる。気持ち悪くて苦しくて、吐き出したいのに動けなくて、僕は言われたとおりに舐める。早くどうにかしてほしいから。
 なのに、ただでさえ大きいのに、もっと大きくなる。歯を立てたら、慌てたように出ていってくれた。その代わり、お返しとばかりに僕のをぎゅっと握られて、痛くて身を捩る。
 お尻の穴をいじられて、それなのに痛くなくて気持ち良くて、僕は自分が自分の言うとおりにならなくて、泣いた。泣いて泣いて泣きじゃくって。でも、許してくれない。

「淫乱だねえ、お前。恥ずかしい子だ。男なのに、入れられて感じるなんて。お父さんやお母さんに知られたら嫌われちゃうね。そんな子はうちの子じゃないって。捨てられちゃうかもね」

「や…いやあ……」

「じゃあ、誰にも言わないでね。俺にこんなことされたのも、気持ち良かったことも、誰にも言っちゃ駄目だよ。わかったね」

 うん。頷く。誰にも言わない。言えっこない。家族に嫌われるのは嫌。捨てられたくない。

 満足そうに笑って、先生が僕の足を持ち上げる。赤ちゃんのおしめを替えるみたいに、持ち上げて、先生は僕のお尻に、僕に見せ付けるように、大きくなったおチンチンを押しつける。ぐいっと中に入れた。

「ひっ…ひやああああっ!」

 大きくて、固くて、熱くて、引き裂かれちゃいそうで、ぐちゃぐちゃになっちゃいそうで、それこそ死にそうで、とにかく痛くて。僕は悲鳴を上げる。我慢できなくて、気を失った。





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