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それから、やっと俺に覆いかぶさってきてくれる。
「それは、誘っているわけか?」
「……別に?」
「そうか? ここをこんなにしておいて」
そんな風にからかって、孝臣さんの大きな手が、するりと俺の息子を通り過ぎる。しかも、一番感じるところを撫で上げて。
その刺激に素直に反応する。自分の物ながら、実に情けない。とぼけられないではないか。
「何もしてないのにな。美岐はエッチだ」
「孝臣さんが色っぽく悩んでるのがいけないんだよ」
「俺のせいにするなよ。いつだって、美岐の身体はエッチだから」
ほら、喜んでる。なんてからかって、パジャマの上からなぞり上げてくる。
それ、勘弁してほしい。理性が吹っ飛ぶ。最近では孝臣さんのものを受け入れるだけで、前を弄らなくてもイケるようになっちゃったけど、孝臣さんの手は異常なくらい器用で、俺の若い身体なんて簡単に煽られる。
それはもう、悔しいくらい、気持ちが良い。
「今日は、後ろだけでイケよ?」
「……何で?」
「俺が、高岸って野郎に嫉妬したから。俺にやきもちを焼かせるお前が悪い」
何だか、変な理屈。
でも、そうか。妬いてくれたんだ、俺の昔の教育係に。
それはそれで、なんか嬉しい。孝臣さんの独占欲が、俺の身体を支配してくれる。
「孝臣さん次第だよ」
「む。そう来るか」
だって、俺がイケるまで孝臣さんが煽ってくれなくちゃ、その命令は実行されないんだから。
でも、きっと大丈夫。今日は暴れる必要がなくて、体力有り余ってるから。そんな風に言わなくたって、孝臣さんに本気でイジメられれば、俺の身体が抵抗できるはずがないんだ。
「美岐、淫乱になっちまったな」
「孝臣さんにだけ、ね」
他の男になんか、触らせてやるものか。
それはね、孝臣さんがわざわざ守ってくれなくても、自分で守るよ。貴方以外に、この身体を触らせたくはないんだから。俺には、男は貴方だけで良い。
「俺専用?」
「うん。孝臣さんのネーム入り。貴方が望むなら、いくらでも淫らになってあげる。だから、貴方も、俺以外の人を抱かないで」
孝臣さんはすごくイイ男だから、女にも男にもモテモテなんだから。俺だって心配だし、過去の恋人に嫉妬しちゃったりもするし。今だってとても不安。
だから、お願い。今だけ、口先だけで良いから。
約束してほしい。
「ね。お願い」
後ろだけでイケとか言っておきながら、孝臣さんの手が俺のものを煽りあげていく。快感に息を弾ませて、舌足らずになってしまった口で、甘えるようにおねだりをすれば、孝臣さんは何だか嬉しそうに笑った。
「お前以外には勃たないさ」
「嘘ばっか」
「本当だって。どんな美人でもどんな淫乱でも、美岐に比べれば路傍の石でしかない」
言いながら、俺のパジャマを剥ぎ取って、握りこんでくる。強烈な刺激に、のけぞった。
「……ほら、その顔。誰よりも、ぞくぞくする」
その顔、って言われても、どんな顔だかわからないけれど。孝臣さんが押し付けてくる腰の中心で、その言葉を証明するように、硬く屹立した怒張が欲望の涙を零していた。
俺の貧弱なモノと比べれば、自分が情けなくなるくらい立派な、孝臣さんの分身。獲物を前に、慎重にタイミングをうかがっているらしく、緊張しているのがわかる。
こんな大きなモノが俺の中に入るなんて、最初は信じられなかったけど。今は、これでなくちゃイヤ。
「ねぇ。シテ?」
「まだ、緩めてないぞ」
「……でも、早くっ」
わかってるよ。女の子と違って、ちゃんと緩めてあげなくちゃ俺が苦しいことくらい。でも、そんなの待ってられないくらい、欲しい。
孝臣さんが、ホシイ。
そんな気持ちをわかってくれて、孝臣さんは2本の指で簡単に緩めたそこに、慌しく入ってきてくれた。
さすがにキツイけど。さすがに少し痛いけど。
俺にとっては愛しい、俺専用の凶器。
しっとりやんわり締め付けて、俺は高く高く嬌声を上げた。
二日後。
授業中だった俺の携帯に一本のメールが入っていた。
『このたび結城さんの下で貴方の護衛につくことになりました。よろしくお願いいたします。高岸』
ちょっとびっくりのこのメールに、俺は授業中にもかかわらず、くすりと笑っていた。
ホント、孝臣さんも何考えてるのかわからないや。
Fin.
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