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 初めての時と違うのは、俺に準備をする時間があったことと、この場所が俺のテリトリー、つまり自宅であること。ちゃんと、避妊具もローションも準備済みだ。心置きなく、彼を意識の向こうへ連れ去ってやれる。

 手で暖めたローションのぬめりを借りて、俺の太い指がするりと中に入っていく。同時に前も後ろも刺激され、美岐はシーツにしがみつく。細い足が俺の身体に絡みつく。

 痛くはなくても異物感で気持ち悪いだろうに、それよりも快感が先に立つのか、美岐の表情には快感以外の感覚が浮かばない。俺もまた、調子に乗って煽ってしまう。

「イイのか?」

「んっ、ふぅっ。イイのぉっ。もっとしてぇ」

「もっと? こう?」

 後ろをまさぐる指を一気に2本も増やす。さすがにきついが、美岐にはそれがわかっているのかどうか、強烈な快感に男の象徴に甘い蜜を零す。それを取って、綺麗な形に膨らんだソレに擦り付ける。男の本能が、美岐の腰を動かして、動きにあわせて俺の手もソレを撫で上げていく。一緒に、後ろの方も、快感のツボを優しく突き上げる。

「あっ、はぁんっ。ダメ、イイのっ。良すぎて、狂っちゃう」

「狂っちまえよ。ほら、欲しいんだろ? 俺のデカイの」

「うんっ、んっ、ホシイっ! 頂戴っ」

「狂えよ。もっと欲しがれ」

 お前が欲しがるなら、何でも与えてやるから。際限なく、その欲望のままに。

「あぁっ、おねがぁいっ。ちょうだい、貴方のっ」

「俺の、何が欲しい」

「貴方の、デコボコの、おっきいのっ」

「どこに?」

「そこぉ。貴方が、指、入れてる、トコっ」

「ここか?」

 わかっていて、指を奥まで突き刺せば、悲鳴と共に背筋が弓なりに逸らされる。きゅうっと、痛いくらいに締め付けられる。

「やぁっ。イジワルぅ」

 辛すぎるくらいに辛いのがわかるのに、俺の嗜虐心に歯止めが利かない。俺もまた、美岐に煽られ、理性をなくしかけているのがわかる。わかるが、抵抗しない。それが、美岐を喜ばせる方法だとわかっているのだから。

 唐突に指を引き抜けば、それが寂しくなるようでピクピクと身体が震える。いつまでも見ていたいようでもあり、俺の欲望の赴くままに犯してやりたい衝動もあり。

「ねぇ、お願いだからぁ。入れてよぉ」

 前だけ握られた姿勢で、男ならそれだけで十分なはずなのに、もっとすごい快感を知ってしまった美岐の身体は、更なる刺激を求めてうごめく。ひくひくと、俺の指を3本も受け入れていた場所が、俺を誘っている。

 そこに俺のモノを押し当ててやれば、嬉しそうに迎え入れる体勢に動いた。多分、これはもう、無意識に。

 俺は、この短期間で、美岐の身体をここまで開発していたのだ、と知る。元々の、才能も関係はあるかもしれないが、だとしても、俺の手柄には違いない。

「入れるぞ」

 うんうん、と頷く。肯定の意味と、期待の現われと。

 最初の時よりも、格段にスムーズに入っていく。内壁が、誘い入れるように俺を飲み込んでいく。俺の目の前に晒される美岐の表情が、恍惚を見せる。

 それは、俺と美岐の波長が合う証。ピッタリとはまり込んで、二人の快感を互いに引き出し、余計に煽り上げる。

 そうして、本当はプライドも高く知恵も度胸も人一倍の男な美岐が、俺の前でだけ痴態を晒す。それを俺に見られているのが嬉しい、と言わんばかりに微笑んで。

 これは、俺が見つけた俺だけの恋人だ。もう、誰にも渡さない。誰であろうと、こいつの代わりはできようはずもない。

「美岐。気持ちイイ?」

「んっ。幸せ」

 正気と狂気の狭間で、俺に揺らされ快感に酔いしれて、美岐は素直にそう囁き返した。




 これが、ヤクザな男とその恋人の、恋物語の顛末。



Fin.





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