Happy Birthday, My BetterHalf! 1




 俺の恋人の誕生日は、忘れたくても忘れられない、なんとも区切りの良い日だ。

 春分の日。

 といっても、毎年その日付は変わるので、彼の誕生日が祝日である可能性は五分五分だ。今年は、日曜日で祝日のため、振替え休日の三連休になった。なんとも好都合だ。

 好都合、というのは、もちろん、俺にとって。

 何しろ、春賀と一生を添い遂げる上での必須通過ポイントとなる、大イベントを決行するのだ。時間に余裕があるほうが、助かるというものだ。

 春賀の実家がある静岡へ。そう。ご両親へのご挨拶、というヤツ。

 どうせ、春賀をうちの顧問弁護士に据える上で必要な通過点である。それが結婚の報告になったところで、さして変わりはない。

 それよりも、二人きりのドライブ旅行である、という事実の方が、俺には重要だった。そのために、ホワイトデーのあの日から、毎晩ドライブに出かけ、すっかりペーパードライバーだった運転の勘を取り戻しておいたのだ。

 せっかくの連休なんだから、時間があればデートしたいし。春賀が研修で出かけてしまう間、一人取り残されるんだから、今のうちの贅沢は多少許されるはずだ。でなければ、ひたすら待つ身の俺の立つ瀬がない。

 ホワイトデーの前日に俺の住むマンションに越してきた春賀は、最初の頃こそ少し戸惑っていたものの、毎日掃除だの洗濯だの炊事だのとやっているうちに慣れたらしく、すっかり自分の家と認識してくれて、自然に生活している。

 家事一般を一手に引き受けてくれたのに、俺はそんなことはしなくても良いと言ったのだが、春休みで暇だから、と答えられては、春賀の好意に甘えるしかない。おかげで、意外に料理上手な春賀の手料理に、毎日舌鼓を打っている。

 今までは週末だけしか許されなかった性生活も、今は解禁状態で、ほとんど毎日貪るように春賀をベッドに沈めている。春賀も、しょうがないなぁ、などと言いながらも結構嬉しそうなので、遠慮する必要もない。

 我ながら、がっついてるとは思うんだけどな。春賀が色っぽいからいけないんだ。

 そういうことにしておいてくれ。





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