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それから二日。俺はこっちの世界のみで時間を過ごした。
正直、一方が意識不明で数日過ごすのは幼少期からの入退院生活で慣れてるから特に問題も無かった。
目が覚めて自室の時計を見て、また今日も目が覚めなかった、とがっかりする日々だ。
その間、教室では皇といつも通りイチャイチャし、放課後は野川さんに引っ張られるように生徒会室で過ごし、部活時間が終わって迎えに来た皇と帰る、という生活だった。
どうやら俺を挟んで皇と野川さんは手を組んだらしい。
自室にいる時と朝の通学時間以外、一人でいることがなくなった。
こっちだけの生活三日目は土曜日で、授業は午前中で終わる。
皇は午後丸々部活に行ってしまうので、俺は当然のように野川さんとデートすることになった。
行き先は、病院。
「本当に行くの?」
隣で付き添ってくれている野川さんにまた念を押されるように訊かれて、俺は肩をすくめて返した。
「第一発見者としては、お見舞いに行くのも不自然ではないと思うんです。
それに、向こうで決着をつけられないのならこっちでつけるしかないですから」
自分が向こうの世界であの学校から去ることで八方治めようとも考えた。
今回の件を機に力を失ったことにすれば、けっこう簡単に元の生活に戻れると思うし。
でも、それだと皇を裏切ることになる。
置いていくようなことにはならない、って約束したんだ。
相手が誰であれ、約束は守るべきだろう。
だから、だとしたら松永さんに引き下がってもらうしかないから。
せっかくの土曜日という日を無駄にするのはもったいない。
松永さんも一年生二人組も、今は意識を取り戻していて検査入院中なのだそうだ。
つまり、体内に石灰粉が残っていないか、ほかに損傷が無いか、調べているところってこと。
命に別状はないようで、それは良かったなと思うけど。
あれだけ石灰を浴びててその程度で済んだのは、随分運が良いんじゃないのかね。
病院の場所も病室も学校で聞いてきた。
こうと決めたら俺は自分でも意外だけど行動は早いんだ。
病院までは自転車で十五分。
こういう大きな病院の外来診療は午前中で終わることが多く、午後は人もまばらだ。
見舞い客用出入り口も混んでいるというほどには人数がいない。
その、見舞い客用出入り口を入ったところのロビーに見知った顔を見つけて、驚いた。
「皇? 植村も?」
今日ここに来ることは皇にも言わなかったのに。
野川さんにだって出掛けに打ち明けて驚かれたばかりなのに。
大体、そもそも皇はこの時間、部活じゃないの?
っていうか、植村って地元どこよ。
「やぁ、ホントに来たね。斎木の元気そうな姿が見られて良かったよ」
何がホントに何だかわけが分からないけど。
「ここ数日でようやく稲荷の思考パターンが読めるようになったんだよ。
絶対来るだろうと思ってたし、来るなら今日がベスト、だろ? 稲荷」
……ようやくとおっしゃいますがね、皇さん。
俺は反対に皇の行動パターンが読めなくなっちゃったよ。
何でそんなに自信満々なわけ?
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[mokuji]
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