28 R
さすがにキッチンなしのワンルームに出来ている寮の部屋は風呂トイレ同室のユニットで、未就学の幼児まで対応するためになのか浴槽なしのシャワーブースになっている。
お湯の温度は四十度以上上げられないし一分出しっぱなしにしていると勝手に水が止まる不思議な高機能つきだ。
そのシャワーブースに押しやられて、頭からシャワーを浴びせられた。
そのまま頭を洗い出すから俺はなすすべもなくて、されるがままに立っているだけ。
ふと目線を下にやると、皇のソレが勃ちかけているのが見えた。
こんな傷だらけの身体でも欲情してくれるのが嬉しくて、そこに手を伸ばす。
指先で触れた途端、皇の動きが止まった。
「こら、稲荷。イタズラするなよ」
「だって、触りたい」
俺を愛してくれる大事なモノだから、愛しいと思う。
触るというより撫でる手つきの俺の仕草に、皇が苦笑いしたのはわかったけど。
手は止められない。
「俺の代わりに、洗ってくれる?」
そうか、その手があった。
こっくり頷いて、ボディソープに手を伸ばした。
皇に頭を洗われながら俺は皇の身体を丁寧に洗う。
泡の滑りを借りて全身を撫でている間に俺の頭を洗うのに満足したようで、また頭からシャワーを浴びせられた。
一緒に皇につけた泡も落ちていってしまう。
流れていった泡を見送って、ボディソープにもう一度手を伸ばす。
まだ背中も足も洗えていない。
手に取ったそれをプクプク泡立てている間に皇もまた同じ事をしていて、泡だらけの手で俺に触れた。
すばやく泡だらけにした俺の身体を抱きしめられる。
大きな手が背中を撫でながら、お腹の方も二人で擦りあわされる。
えーと、一石二鳥狙い?
っていうか、どちらかというとソープ嬢にでもなった気分だ。
反対に抱きついて、両手を彼の背中に伸ばした。
ぎゅっと抱きついて背中全体をせっせと擦る。
密着した二人の身体の間に挟まれて、お互いに反応したそれが触れ合うのが気持ち良い。
くちゅくちゅと濡れた音がするのは、泡のおかげなのか別の理由なのか。
皇のイタズラな指先が背筋からお尻の割れ目まで潜り込んでくるのに、期待から身体がふるっと震えた。
泡のぬめりと一緒にもぐりこんで来た指先を思わず強く銜え込んでしまう。
「欲しいの?」
「……うん」
頷いた途端に指が増えた。
壁に縋らされて皇に後から抱きしめられる。
焦らす余裕なんてなくてお尻を突き出して誘う仕草をして見せれば、俺のモノより太くて長くて猛りきったその代物を強く押し付けられた。
「稲荷……」
「早くっ」
もどかしくて強請った途端に、下腹部に衝撃を受けた。
いつもなら最初はどうしても引き裂かれる痛みを感じるものだけれど、泡のおかげなのかすんなりと奥まで入り込んでくる。
心地良い圧迫感が快感を誘う。
逃げたいわけではないのに逃げるように身体がしなって、皇の大きな手が俺の腰を掴んで引き寄せてくれた。
「泡のせいでぬるぬるなのにぎゅっと締め付けられるよ。そんなに欲しかった?」
じわじわと喪失感を与えるように抜かれていくのを意識してひきとめながら、首を横に振る。
だって、過去形じゃない。今でもまだ、もっと欲しい。
「稲荷。気持ち良い?」
「うん。もっとっ!」
早く動いて。
奥まで突いて、かき回して。
どろどろに溶けるくらいに。
「皇っ!」
「……ん?」
「大好きっ」
愛してる、じゃちょっと嘘くさい。
なんか可愛らしい台詞回しになっちゃったけど。
皇にはそれがどうやらツボだったらしく、その時を境にガツガツと攻められてあっという間に登り詰めてしまった。
どうも箍が外れたらしい皇に場所を変え体勢を変えの三回戦を挑まれて、前後不覚のまま眠りに落ちていく。
意図的に、自分にしては少しやりすぎなくらい開けっ広げにしてみたわけだけど。
ツンデレとかいう汚名は返上成功として良いだろうか。
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