二年後ネタ

出張から帰って、屯所に来てみれば、信じられない光景があった。

「え、なんでお城なの?私、住所間違ってないよね?」

門の所に『真選組屯所』と掲げてあるから、間違いない…はず。

「女帝、お帰りなさいませ!!」

門前でオロオロしていたら、中から隊士が一人出てきて私に挨拶してきたけど…

「女帝?誰が?」

「あん?何言ってんすか。ソーゴ・ドS・オキタV世閣下の嫁である紫亜さんの他にいないでしょう!」

「…え、ソーゴ…何?…って、え、嫁!?」

「カイザーがお待ちです。さ、こちらへ」

混乱したままの私に笑顔を見せて、カイザーの元に案内する、と先へ進み出す隊士。
訳が分からないけど、あとを追い、広間にやってきた。

「紫亜、やっと帰ってきたんだな。早くこっちに来い」

「……誰?」

椅子に座っている男性が私に声を掛けた。

「旦那に向かって誰、はないだろう。今夜は仕置き決定だな」

男性は、戸惑っている私の傍まできて横抱きをし、元来た道を戻る。
近くなった顔をよく見れば、目と髪の色が総悟と同じ。匂いも愛しい人の香り。
…て事は、総悟なの?

「総悟、だよね?なんで、そんなに益々かっこよくなってんの?」

「何を今更言ってるんだ?」

ふっと笑う表情は、余裕が見える大人の顔。
私の顔が一気に熱くなる。

「…やだ…どうしよう、総悟っ…」

「ん?」

私を抱いたまま、椅子に座った総悟の首に腕を回して抱き付いた。

「…凄くドキドキする。動悸が止まらない…」

かっこよすぎて、私の心臓はいつも以上に高鳴っている。

「相変わらず可愛いな、紫亜は」

大きな手が私の頭を撫でる。
やだ…益々ドキドキして…なんか変な気分になってきた…。

「カイザー!今から、メガネを迎えに行って来ます!」

「ああ、しくじるなよ、山崎」

…山崎?
見れば、私を案内してくれた隊士。
…え、山崎?

「ええっ!?山崎さん!?どうしたんですか、そんな派手な格好!?監察って目立っちゃいけないんじゃ…」

「あん?今更何を言ってるんすか?今の俺は副長だぜ、あん?」

「副長!?…は、土方さんでしょう!?」

「どうしたんだ、紫亜。今日は様子がおかしいな。…もしかして、寝ぼけてるのか?そういう所も可愛いな」

ギューッと抱きしめる力を強くする総悟から、どうにかして離れ、山崎さんをまじまじと見てしまう。

「山崎さんが副長なら…土方さんは?」

「僕はみんなの雑用を引き受ける仕事をしているよ」

山崎さんの隣に、まるで仏のような笑みを湛えた土方さんが現れた。

「雑用を引き受けてるって…それ、パシリじゃないんですか!?どうしちゃったんですか、土方さんまで!」

「僕はいつも通りだよ」

「え、なに、なんなの?私、アウターゾーンに紛れ込んだの?」

「あん?懐かしいっすね、アウターゾーン!ミザリィが色っぽくて、子供ながらにドキドキしましたよ、あん?」

アウターゾーンが通じたって仕方ない。
二週間出張に行ってただけで、なんでこんな何もかも変わっちゃってるの?

「紫亜、そんな泣きそうな顔をするな。もうすぐ江戸が我が物になるから、それを紫亜に捧げる」

「いや、いらないし!総悟、一体何をしているの?いつから、そんな支配欲が強くなったの?外見はかっこいいけど、そんな性格、私が好きになった総悟じゃない!」

「じゃあ、やめる。おい、山崎。もう江戸を支配するのはやめだ。かぶき町もどうでもいい。紫亜が傍にいるだけでいい。て事で寝室に行くか」

「何言ってるの!?カイザーなんでしょ?政治もせずに、女性に溺れるとか、ダメな皇帝の例よ!」

「じゃあ、どうすれば?」

「…分かんない!」

完全に混乱しきった私は、総悟を押しのけて屯所から飛び出してしまった。

そして、ニュースで寄生型エイリアンの仕業だという事を知る。
そっか…私は出張で江戸を離れていたから、寄生されなかったのね。
とりあえず…ハリセンで総悟を叩いてこよう。





とか思いながら、二十歳総悟の姿にどぎまぎして、なかなか叩けないのかもしれない。

アウターゾーンは、まだジャンプで乳首←が描かれてた時代に連載していた漫画です。


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