芹沢鴨




















商家から脅しまがいな押し入り
酒が入ると店をつぶすまで暴れる























そのことがお上の耳に入り
俺らはアイツの暗殺の密命が出た









誰も文句は言わない
もちろん俺も


いつかは来ると思っていたのだから









きっと芹沢さん本人も
気づいているんじゃねぇか








あの人は頭も切れる



じゃあなんで、
自ら破滅の道へと進んだ



















月見酒
一人で呑んでも楽しくねぇ





ふと、低い声



「土方」











「あんたか、芹沢さん」









入るとも言わず
どかどか俺の隣に座る



















「俺は殺されるんだろう」















なんで知っていやがる
とは聞けず
つい押し黙ってしまう
無言は肯定だというのに



















「俺は京の民にこの浪士組が


甘くみられんよう
恐怖を植え付けておいてやった





多少俺が気に食わんくて
暴れた節もあるが












それを生かすも殺すもお前次第だ」








そすれば、今後お前たちも
動きやすくなるだろう?




























この時のこの人の笑い方は
いつもの小馬鹿にしたようなものではなく


自分のいない未来を


楽しみにしているようなものだった

















「あんたの命は俺が預かった」




「最後は綺麗なものにしろよ」




「当たり前だ」


















民衆に畏れを



俺たちがいるから
京では暴れられなくなる

暴れても匿ってくれる
民衆が浪士組を畏れる






これでは、逃げ場がない















それを考えて
あんたは自ら悪役を買って出た















それから、
















「お前が俺を殺せば」














残ったものは
悪を滅ぼした英雄と見られるだろ













「あんたみてぇな人がどうして」

















「さぁな」
























杯に注がれた一杯の酒を
一気に飲み干し


最後にこう告げた


















「黎明だ、後は託したからな」


















近藤、
優しすぎるのはいつかお前自身を殺すぞ









深く刻まれた

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テーマ「人外ファンタジー」
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