気持ち悪い、気がする。無駄とは思うもののお腹をさすってみる。うー、だるい。お腹は痛いし腰は重いしすこしだって動きたくない。女の子は辛い。ふたたび痛みの波がおそってきて、わたしは持っていたシャーペンを机においた。なにもやる気がしない。

「どうした?」

「え?」

「腹が痛いのか?」

向かい側の風丸がわたしの顔をのぞきこむ。すごい、わかるんだ。せっかく二人きりでこうして勉強を教えてもらっているのになんだか申し訳なくなってきた。部活が休みだから久しぶりに二人で勉強しようかなんて、せっかく彼から誘ってくれたのだ。体はやすめられないし勉強をわたしに教えなくちゃだしすこしもメリットはないのに。

「え、普通だよ、元気元気!」

「嘘つくなよ。」

真正面からまじめな顔をした風丸がわたしの目を射抜く。そしてそっと手をのばしわたしのお腹をなでた。反射的にびくついてしまう。風丸はそれにかまわずゆっくりなで続ける。わたしは恥ずかしいのと風丸の顔が近いのとで心臓が爆発しそうだ。風丸の瞳はすこしうつむいているかんじでお腹にむけられていて、その顔がなんというか、ものすごく綺麗だ。そうやってぼうっと風丸をみていると、風丸はなでている手をとめて突然立ち上がった。椅子がおおきく耳障りな音をだす。なにをするのかと思えば学ランを脱ぎはじめた。そして素早く脱いだ学ランをわたしのお腹へかけて一言。

「女の子は、下半身ひやしちゃダメだ」

風丸の真剣な顔がわたしから少しずつゆっくりとはずされていく。「…テレビで言ってた」そうつぶやいて頬をかく風丸の顔が赤くみえるのは気のせいだろうか。

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