じわじわと蒸し暑い教室の中。夏休みがおわっても、今年の夏はおわってない。騒がしく鳴く蝉の声を聞きながらわたしはシャーペンを握る手にさらに力をこめた。ぽきっ。軽い音がして下を見れば、シャーペンの芯がおれて破片がプリントの上に転がっていた。そこでわたしの集中力はおしまい。崩れるように机の上に倒れ込んでため息をついた。はあーっ。

「おわんないよー…」

泣き言をもらすと容赦なく叩かれる頭。そんなに痛くはなかったけれど今ので脳細胞がいくらかしんだな、絶対。わたしはすこし大袈裟に頭をさすってみる。あーあ、余計にやる気なくなったなあ。叩いた張本人、涼野はパタパタと教科書をうちわ代わりに使いながらこっちをみている。はやくやれ、そう思ってる。たぶん。「はやくやってしまえ。もう帰りたい」あれ、わたしすごくないか。今の、テレパシー?それとも愛の力?「くだらないことを考えてないでさっさとやれ」会話が成り立っちゃってるよ!なにもしゃべってないのに!そうか、わたしたちテレパシー使えるのか…。「だいたいおまえが夏休みの課題やってないから居残りになったんだぞ。せっかく今日は授業もなくて半日でおわりだっていうのに…。」あー、そういえばお腹へったよ。できるだけはやくおわらせるからさ、ご飯食べに行こうよ。「…このあとどこか食べに行くか。」うん。やっぱりわたしたち以心伝心なんだね!「そうときまれば、はやくおわらせろ」がんばる!あっ、がんばるから涼野のおごりで!「…なに」だから、おごり!「…わからない」お、ご、り!「口パクでもわからない」だから、おご
りだって!「…!わかったぞ」あっ、やっとわかってくれたの!


「好、き。だろう?」


「…は?」

「わたしも好きだ」

えっと、違うんですけど…。てかそんなに真顔でいわれると恥ずかしいっていうか、でもうれしい、よ。うん。とりあえずおごりじゃなくてもいいです。全然。かまわないです、はい。



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