さむい。つめたい。こおっているのか、このみずは。なんでえきたいなのこんなにつめたいのに。みずがわたしのかみを、ふくを、つつんではだにいたみをつきさす。そうだルフィは。チョッパーも。おぼれてる、ふたりをたすけなきゃ。…よかったわたしよりすこしだけふかいところに、いしきのないふたりがいた。だんだんしずんでいくたびにふたりのくちからもれるきほうがちいさくなっていく。さんそがまだからだにのこっているうちにはやくひきあげないと。すでにかんかくのないあしでみずをける。まずルフィを、それからチョッパーを、かかえていそいでひかりのさすかいめんをめざす。いきがくるしい。いまにもいきをはいてみずをのみこんでしまいそう。くちからもれるくうきをひっしにおしこめてもううごかなくなりつつあるあしをうごかす。




突然、ナミさんの叫び声が聞こえて(なんと言ったのかはわからないが)オレは反射的にキッチンを飛び出した。甲板にはナミさんとウソップがいて二人とも心配そうな顔をして海をじっと見ていた。オレに気づいたナミさんが「サンジくん!なまえが…」と言った。オレはその一言で飯の準備をしていたことも今までロビンちゃんと楽しく話をしていたこともこれからレディーたちにドリンクをつくってさしあげようとしていたこともすっかり頭から抜け落ちてなにも考えられなくなった。「釣りをな、ルフィとチョッパーとしてたら二人がおっこっちまってよ!近くで見てたなまえが助けようとつづけて海に飛び込んだんだけど…」ウソップが話す内容が真っ白な頭に直接はいってきて簡単にそれがイメージできた。ともかくすぐにオレはナミさんの隣にかけよって真下の海を見た。そこにはなにもないように見えてオレはますます焦って飛び込もうと手すりに足をかけた。すると「待って!サンジくん!」いきなりだれかが海面から顔をだした。勢いよくしぶきをあげてとびだしたのはまぎれもなくなまえちゃんで。両手にはチョッパーとルフィをかかえていた。急いではしごをたらすとチョッパーを頭の上に移動させて片手を使って器用にのぼってきた。「なまえちゃん…!」オレの言葉には反応せず、なまえちゃんは黙ってルフィを差し出した。ルフィよりもなまえちゃんのほうが心配だったがなにも言わずにルフィを預かって床に寝かせた。ウソップがかけよってきてルフィの頬をたたく。それにしてもなまえちゃんの様子がおかしい。こんなに静かなのも動きがゆっくりなのも普段見たことがない。ゆっくり頭にのっているチョッパーを腕に抱き直して、頬をたた、こう、と…その瞬間なまえちゃんがぐらりとゆれた。「なまえちゃん!」「なまえ!」オレとナミさんが同時に叫んだのといっしょになまえちゃんがゆっくりと倒れていく。反射的にうけとめて(服も髪もぬれていてかなりつめたい。こんなつめたい水の中になまえちゃんがいたのだと思うとぞっとした)体の向きをかえさせて顔を覗いてみた。瞳はとじられていて顔が真っ赤、息も荒いし苦しそうだ。額にさわると熱い。どう見てもこれは熱がある。オレはすぐになまえちゃんを抱き抱えてバスルームまで走った。ナミさんがオレのあとをついてきて叫んだ。「サンジくん!わたしがやるから!!」バスタブのなかになまえちゃんをゆっくり座らせてから眉をしかめて無言でナミさんを見るとナミさんは赤くなって怒っていた。「だからでてって!はやく!」なまえちゃんのシャツのボタンに手をかけていたオレの手をつかんでひきはがしまだなまえちゃんの腕の中にいたチョッパーをオレにおしつけるとあっという間にバスルームの外にだされた。バンッと勢いよくドアをしめられる。相当ナミさんは怒っているみたいだ。








第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -