いつも俺の夢に現れるのは、あの夏のお前なんだ。
あの日、転校して行ったお前を乗せた新幹線が脱線事故に遭って、鬼道は死んだ。それからだ、よく俺の夢にお前が現れる。
「不動、聞いてくれるか」
夕焼け間近の淡い赤色の駅で、何か言いた気な顔で鬼道が俺の顔を見る。
俺は何も言わずに鬼道の手を握り締める。毎回毎回。感触や温度はわからないけど、握り締める。
「不動、俺な…」
言いかけたと同時に発車のアナウンスが鳴る。これも毎回。俺がどうしたってここは変わらないんだ。新幹線に乗り込む鬼道をただ見送るしかないんだ。この先に待っているのが死だとしても、俺は鬼道の未来を変えることは出来ない。
「っぅぁぁぁああああああっ」
最後に毎回毎回大声で泣く。悲しくて、悔しくて、もどかしくて、虚しくて。
だから、ぎゅっとその手を離さないで、ずっと夢なら覚めないで。
戻れることなら、あの夏のあの駅まで。
出来ることなら、生まれ変わってもまたお前に出逢いたい。
みずいろの町(涙で溺れたあの夏)
fin.
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不鬼で書きました。短いね。そして死ネタ、すみません。サビの"アナタカナタ"を入れたかったんだけど難しかったです(笑)みんなも音速ラインさんの曲聴いてみてね。
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