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不鬼





どうやら鬼道クン、
身ごもったらしいぜ




ここんとこやたら
熱っぽいのが続いて
更に嘔吐の繰り返し。
けれど食欲だけは
無駄にあるようで、
酸味ものばっかり
摂取してんだよな。
流石のオレだって
男が孕むなんてよ
考えたことも無い。


けれど鬼道クンの


身体に注ぎまくった
事実も半端なくあれば
ネットまで使って
調べちまった結果、
ああこりゃアウトだな。
なんて心底思ったぜ


「サッカーがしたい」

「鬼道クンまじで言ってんの?」

「本気だ」


それから数日も
空かないうちに
意を決して薬局から
検査のアレを買って
試してみたんだよ。


「やめとけっつの…」

「俺は平気…だと思う」

「は、身ごもりながらサッカーするヤツいねーから」


もう解るだろうけど
青ざめた顔で告げた
言葉は…で き た
つまりは男がガキを
妊娠しやがった奇跡。
もちろん病院に行ける
訳もなく、鬼道クンは
サッカーしたいでら
騒ぐ一方でお手上げだ。


勘弁してくれ


「貴様が悪いんだろう」

「…まあそうだけど?」

「サッカーがしたい」

「ダメだつってんだろ」

「やかましいハゲ」


こんな調子で今日も
イライラしっぱなし。
つか、悠長に雑誌
見てねぇで焦るとか
ないわけ?


「…今更焦ったところで、身ごもったのは変わらないからな」

「ふぅん」

「不動…俺はお前との子供なら、」








嫌じゃない。


end.
(鬼道クンの真っ赤な顔が)
(より愛しく感じた瞬間。)
(オレより覚悟あるみてぇ)

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