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熱さが上回る瞬間

不→←鬼



顔を合わせれば喧嘩ばかり。
喧嘩がしたい訳じゃねーのに、口から出るのは屁理屈やおちょくるような単語ばかりが声となり言葉として相手に伝わってしまう。

何がしてぇんだ、俺は。


「へぇ、鬼道クンピーマンなんか嫌いなの?餓鬼っぽ。」


いち早く昼食を食べ終わった俺は食器を台所へと持ってってやろうかと皆の座るテーブルを横切れば喧嘩相手の皿に緑の物体が寄せられているのに気付いた。


「っ、最後に食べるんだ…。」

「隠すところが、また餓鬼くさー」

「嫌いとは言っておらん!」

「おーこわこわっ」

「貴様だってトマトが!!…」

「はいはいっお兄ちゃん達ストーップ!仲良しなのは微笑ましいですけど食事中は静かにしてくださいっ!」


マネージャーにそう止められれば、「誰が仲良し何だ」と互いに似たような悪態を同時に吐いた。


「真似すんなよ」

「真似したわけではない」


フンッと互いにそっぽを向き合う。
俺はそのまま食器を片しに歩みを進め、ガシャンと合宿所の割りには小さいように思えるシンクに皿を置いた。

あー…なんなんだよ、俺。このままじゃ関係を修復する所か益々嫌われんだろ。

自室に戻ろうとまだ飯を食ってる奴等を横切ろうとする際に腕を掴まれた。


「待て」

「…んだよ。」

「お前に話があるんだ。」


そう言って鬼道クンは食器を持って立ち上がった。


「ん?…そういやピーマン食ったの?」

「…フッ残すわけなかろう。お前みたいな子供ではないからな。」


ドヤ顔を披露しながら鬼道クンはそう仰られた。
餓鬼と言われたことを根に持っているのかどうか知らないが自棄に子供という言葉が強調されていてイラッと来た


「ピーマンがお嫌いなお子様よりかは増しだと思うけどォ?」

「残すなんて勿体無い真似をする餓鬼の方が増しだと?あり得ないな。」


眉間にシワを寄せて俺を睨むように見る
余裕そうな表情で言い返してやれば鬼道クンはもっと苛つきを増す。
天才ゲームメーカーとは言われているが感情に操作されやすく、俺にとってはとても単純であると思う。
俺も人のことは言えねーかもだけど。


「はァ?…だったら」

「お前ら、そーんなちっちぇことで喧嘩すんなよなぁ!」

「いっ?!」


バンッと容赦のない平手が背中に入った。いってぇなんて言葉が声になるよりも先に片足立ちをしている俺のバランスが崩れた。平手が入った方向に。

ガシャンガシャンッと食器が床へとぶつかった音と海の広さに比べればなんて口癖を詠っている綱海の声が耳に響く。


「お兄ちゃんっ!?」

「ははっわりぃ!大丈夫か?」


心配する声と陽気な声と他の笑い声と、色々聞こえてくる。何故か背中以外に上唇が痛い気がした。いや、気のせいか。


「わり、鬼道クン。大丈、夫…え?」


思い切りケツを打ったであろう鬼道クンに目を向ければトマトだった。


「…だ、大丈夫だ」


手で口を隠すかのようにする鬼道クンは顔を真っ赤っかにさせて俺から目線を外している。キュンなんて俺に似合わない効果音が心の中に鳴り響いた気がしたと同時にやっと理解した。


あ、俺 鬼道クンとキスしたんだ。




熱さが上回る瞬間
(い、今のはカウントしないからな!!)
(馬鹿じゃねぇの!俺だってしねーよ!)




fin.






______
リハビリ第一作目
素直じゃない二人になってしまった。
というよりか、馬鹿っぽい…
こういうほのぼの?したのは、あまり書くことがないので新鮮でした 。
上手く書けただろうか…

リクに応えられてなかったら申し訳ございません。
          やずき様へ捧ぐ

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