coupling | ナノ
同情するなら拒絶しろ

※年齢操作⇒高校生



「なぁ、鬼道クン」

「何だ?」


教室を出ようとする鬼道を呼び止めた。パサリと髪が揺れる音を響かせて、鬼道は振り向いた。昔見たゴーグルは、今では見えなくなって綺麗な紅に不動が映った。


「好きだよ。」


空気が渇いている空間に愛しい人と二人きり、そんな空間に不動の告白が響いた。
否、愛の言葉を囁いたと言うべきか。
不動と鬼道。敵視していたはずの二人は、今では世間で言う《恋人》という関係となっていた。

そんな恋人という甘い仲でも、先程響いたムードも糞もへったくれもない愛の言葉は告白のようで、まるで関係の再確認のようにも聞こえた。


「…あぁ、俺もだ。」


少し冷たい口調で返答した鬼道の顔には喜びや照れなどという感情はなく、何故か悲しそうな表情を浮かべていた。


「マジで言ってンの?…鬼道クン、ホントに俺のこと好きなのかよ!」


荒々しい声で、哀が重なる声で言い放つと鬼道はさっきまで見つめ合っていた深い緑の双眸から目線をずらし、下唇を噛んで黙り込んでしまった。
眉は八の字を描いて、その表情は正に困っていると言えるだろう。


「ほら、やっぱ…同情だったンだろ。天才ゲームメーカー様はお優しいからなァ?そうだろ、鬼道クン?」


不動の口からは皮肉ばかり、すらすらすらすらと鬼道を挑発する言葉を発する。
まるで互いを敵視していたあの頃のようで、心を閉ざしていた頃のようで。

「不動!それは違うッ」なんて聞こえた気がしたけど、俺はそれを無視して少ししかない鬼道クンとの距離を縮めると思いっきり肩を掴んで押し倒した。


「生憎、俺は鬼道クンみたいに優しくねーぜ?」

「待て!ふどっ」


鬼道の上でニヤリと笑うと、不動は言葉を紡ぎ出そうとする鬼道の唇に自分の唇を重ねた。
さっきまで言葉を紡いでいた唇の中に舌を侵入させることなど容易く、不動は鬼道の口内を犯す。

時々漏れる、艶めかし鬼道の声や舌を絡ませる度に鳴る水音が耳へ直に響く。


「んんっ…ふ、とぉッ…」


奥に逃げる舌に無理矢理絡んで、抵抗する腕は上に持ってくると片手で両手首を掴んで固定した。
そうして、片手で器用に鬼道クンの制服を脱がしていく。

唇を離すと銀の糸が厭らしくひいた。


「…はぁ、ふど…やめろ」

「嫌なら逃げりゃあいいだろォ?」

「っ!…なら、離せ!」肩を上下させて酸素を求める鬼道、珍しく騒ぎ立てるように文句を言うが、不動は無視して前戯を進めていった。

一つ、二つ、ボタンを外していくと普段は衣服に隠れていた上半身が露になる。
つーぅっと腹を指で撫でれば鬼道の表情は歪む。


「…ひッ、やめ…!」

「じゃあ…」


鬼道の両手首を掴んでいた力が緩められた。
驚くべきか安堵の表情を浮かべればいいのか、よく解らない鬼道は不動を紅い瞳で見つめる。

深い緑が涙で揺れていた。


「俺のこと嫌いって拒絶してくれよ…。」









(ホントは同情も拒絶も欲しくないけど)






end..

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