Dream | ナノ
不動×♂主






夏休みの強化合宿では大広間が取れなかったそうで、2人〜4人のグループに別れて個室に泊まることとなった。ちなみに俺は万年ベンチ組の不動と一緒に801号室になった。


『風呂あがったぜー』


タオルを首にかけて出てくると不動はギョッとした顔をして俺を見た。


「お前、その服…!つか、髪くらいちゃんと拭けよ!」
『あぁ、間違えちゃって…』


そう言って苦笑いしながらガシガシと濡れた髪を拭く
俺は間違えて3歳年下の弟とお揃いのパジャマを持ってきてしまったのだ。故に小さすぎて丈が短い。


「あーあ、髪ぐしゃぐしゃ。もういい、貸せ!風邪ひいちまうだろォが」


俺の手からタオルをふんだくり丁寧に髪を拭いていく。こういうとこ、たまに器用なんだよなぁ…。


「…ったく、……無防備にも程がある」
『んぁ?なんか言ったか?』


不動がぼそりと何かを呟いたが、聞き取れなくて問うと、いきなり髪を拭いていたタオルで目隠しされた。


『うおっ!不動、前が見えない!』
「うっせ、黙ってろ」


不動はそう言ってタオルを目隠ししたままギュッと俺に押し付けた。
次の瞬間、頬に柔らかくて暖かい感触とちゅっという可愛いリップ音。

『ちょ、不動っ、』


俺が抵抗しようとしても目隠しされていて不動の顔がどこにあるのかわからない。


『不動…?』
「名前…無防備すぎンだよ」


その声が耳元でしたかと思えば耳を甘噛みされ舐められた。ゾクゾクと震えが背中を走る。


『っあ…ふ、どぉ』
「胸元も、」


パジャマがきつくてボタンを2つ開けていた胸元にキス。


「腕も、」


袖が異様に短くて捲っていた腕にキス。


「ヘソも、」


何より丈が短すぎてお腹が出てしまっていたヘソにキス。
ゾクゾクと快感にも似たこそばゆい波が押し寄せてくる。


「他の奴になんか見せたくねェよ…名前の綺麗な肌」


不動はそう言って首筋にキスをして紅い花を咲かせた。首がチクリと痛んだけど痛みより嬉しさの方が大きかった。


『不動…タオル、外せ』
「え、ヤだよ」
『なんで…?』
「今、多分俺、顔…真っ赤だから」


モゴモゴと語尾を曇らせて言う不動は本当に真っ赤なんだろうな、と思って思わず笑ってしまった。


「おまっ、何笑ってンだよ!」
『やっぱ外せよ。綺麗なお前の顔見てキス…したい』


すると不動は暫く無言の後、そっとほんのり濡れたタオルを外した。
案の定目の前には真っ赤な顔をして頬を掻いている不動の姿があった。


「言っとくけど、優しいキスは出来ねェぞ」
『ん』


肯定すると、グイッと腕を引っ張られて抱き締められたと同時に深く口付けされる。身体が熱くて頭が朦朧としてきて、無我夢中で不動を求めた。
酸素が足りないのか気持ち良すぎるのか足がガクガクしてきて自力で立てなくなると不動に頭と腰に腕を回され更に抱き締められて深く深く口付けをされた。


『…っ、はぁ』


やっと離れたかと思えば不動の深緑の目と真反対な色気のある真っ赤な舌が見えて、どちらからともなくもう一度交わりあった。




それは俺にだけの甘い独占欲。
(俺にだって独占欲あるよ)




fin.

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