俺を愛でよ! | ナノ


01-2


「コラ、咲山っ!1年の教室で何してる!」
「別にいいだろ」
「いい訳ないだろ!お前、入学式で新入生歓迎の言葉やるんだぞ!」


顔を真っ赤にして怒ってる先生とは反対に修二は涼しそうな顔をしている。


「大丈夫、もう入ってるから」


修二はそう言って自分の頭をコンコンと人差し指で軽く叩いた。こういう仕草がいちいち格好良いからむかつく。
先生は何も言い返せず、ただ頷いた。


「まあ、いいが…。間違えるなよ」


そう言って立ち去る先生の後ろ姿を眺めながら、修二は小さく鼻で笑った。


『お前、入学式で台に立つのか』
「ああ、まあな」
「凄いっスね」
「いや、俺より生徒会の方が…」
「咲山、そろそろだぞ」


修二の言葉を遮って大きな声が背後から聞こえてきた。振り向けば俺より修二より高い男の人が立っていた。


「源田か」
『わ、でっか…』
「3年生っスか?」
「いや、2年だが」


源田と呼ばれたその人は俺達に小さく笑いかけて「すまんな、咲山行くぞ」と言った。「青汰、じゃあな。…健也も」俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でて2人は去って行った。


「源田先輩かあ…」
『でかかったな』
「俺もあんな風に威厳のある人になりてえな」
『健也にゃ無理だな』
「うっせ」


冗談を言えば、舌をベーッと出した健也が俺の頭を小突いた。


『今の感じた』
「やめろ」


楽しい中学校生活の幕開けだ。





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