05-2 『お前の登場はいちいち荒いんだよ…』 「可愛い青汰のためなら俺は何だってするよ…!」 うるさい元凶は俺を見つけ、ラリアットを食らわせてきた。いや、避けたけど。はぁ、と溜め息を吐く。 「お、俺だって青汰のためなら何だって出来るっスよ!」 『なに張り合ってるんだよ、バーカ』 「そんなことより、昨日の新入生歓迎の言葉どうだった?」 まるで尾を振っているようにキラキラした目で俺を見上げた。少し言葉に詰まる。正直あれは惚れる域だと思った。でも、誉めすぎると調子に乗るからな。 『ああ、良かったと、思う…』 「青汰ー!」 『う、わっ』 当たり障りない程度に誉めると修二は笑って抱きついてきた。それを見た健也が慌てて修二を引っ剥がす。 「俺便所行ってくるから。青汰に変なことさせるなよ」 健也は修二を睨んでトイレへ向かった。 「はいはい。じゃあさ、青汰なりに誉めてくれよ」 『なんじゃそりゃ。どうすればいいの?』 「だから、青汰なりに」 『俺なりにだと、殴ったり叩いたりになるけど…』 そう言うと修二は目を見開いた。それが俺にとっては当たり前だ。だって俺は痛みが快感になるから。 「ああ、そうだ。お前特殊なんだった」 『うん、殴るんでいい?』 「ざけんな。じゃあ、撫でてよ」 俺が拳を作ると、修二は笑いながらそう言って俺に頭を向けた。向けられた頭に手を乗せ、深い緑のさらさらした髪を撫でる。 『なあ、こんなんでいいの』 「ああ…、ふふっ」 相変わらず変な奴だなと思いながら、修二の細い髪をまた撫でた。『はい』と言って頭から手を外すと修二はすくっと立ち上がって軽くお礼を言った。と同時に昼休み終了5分前の鐘が鳴った。 「青汰にもお返ししてやるよ」 『まじで!?グーパンでいいよ、グーパンで』 そう言って目を瞑ると、額に暖かい柔らかい感触の後にデコピンされた。目を開けると修二はもうドアに向かっていて「生徒会頑張れよー」と後ろ手で手を振って出て行った。 『お、おう…』 グーパンが良かったなと少し残念に思ったのと、柔らかい感触は何だったのかと、もやもやしたまま午後の授業を受けた。 Just a moment... |