03-2 あ、思い出した! 春休みにいつものようにホテル街で女とシた後に外に出たら、いきなり男が3人がかりで俺を車に乗せようとした時に助けてくれた人だ! 『あ…の、ありがとうございました』 「青汰は男相手もあるのか?」 『えっと、条件を満たせば…』 「今まで何回シた?男と」 『……3回…』 なんか改めて言われると恥ずかしいような泣きたいような気持ちになって、思わず下を向いて呟くように言った。 すると、その人は下から俺の顔を覗き込むようにして眺めてきた。 『なん……!?』 『なんだよ』と言いかけて、声が詰まった。だって、泣きそうな顔で俺の頬を撫でるから。 「大丈夫か…?」 『ンなの…大丈夫に…っ』 目頭が熱くなって、鼻の奥がツンとした。徐々に前が滲んできて、すぐさま袖で目をこすった。鼻を強くすする。 でも、頬を撫でる手が暖かくて心地良くて。誰かに俺の存在を肯定し欲しくて、辛さや痛みを解って欲しくて。 「止めなくていいんだぞ」 『ふっ…う…っ』 労りの言葉が胸に染みて融け出す。涙を拭うのを止めて思い切り泣いた。 不意に腕を引っ張られて、ふわりとその人の匂いが香った。メンズ用の香水だろうか。それにしては落ち着く匂いだと思った。俺の頬を撫でていた手はいつの間にか背中に回っていて、しゃくりあげる背中をゆっくりとさすってくれていた。 「お前の家庭の事情は聞いてる」 『……は…い』 「…辛かったろう」 『……は…いっ』 目をぎゅうっと強く瞑って涙を絞り出した。緩く開いた口から嗚咽が漏れる。 この人なら解ってくれると思った。 「俺たちがお前を生徒会に誘うのは理由があるからだ。来てくれないか…?」 手を差し出される。俺は迷わず掴んだ。 「フン、やっと来たか」 『1-B江村青汰です。これから宜しくお願いします!』 俺にも仲間が出来るかもしれない。 Just a moment... |