03-1 「おい、青汰。お前のことじゃないか?」 『え、俺…?』 ぽかんとしてたら健也に肩を叩かれて我に返った。全校生徒が一斉に俺の方を向いた。 「ああ、江村青汰が生徒会会計に決まった」 『そんなこといきなり言われても…』 「じゃあ、青汰は放課後生徒会室に来るように!以上!」 口を挟めばすぐに遮られ、何も言い返せないまま生徒会長さまは舞台袖に去っていった。 それから入学式は幕を閉じ、あっという間に放課後になった。 『健也ー!帰ろうぜ!』 「なっ!お前、生徒会は…?」 『ヤダよ、俺やらなきゃいけないこと沢山あるもん』 そうだ、俺は父さんを越えて見返してやるんだ。俺と母さんを捨てた父さんを。 「あっ、ああー…」 覚悟を改めて考えていたら、健也が俺の頭ら辺を見て、焦ったような声を出した。 『なん…っ』 『なんだよ』と言おうとしたら、頭に重い拳が落ちてきた。 『ってえ…』 「江村青汰!放課後生徒会室に来いと言っただろう!」 振り向けば、銀だか白だかわからないけど綺麗なサラサラの髪と眼帯と睨みつける片目が目に入った。 『ええー…』 「あからさまに嫌な顔をするな!取りあえず来い」 開けていた襟刳りを掴まれてその人はツカツカと早歩きで歩いていく。綺麗な髪がふわふわと揺れて…あれ、なんか、見覚えある。 『ちょ、離して下さい!俺色々忙しいんですよ』 「そうか…」 そう言ってその人は俺の襟刳りを離してこちらを向いた。その目はさっきよりも一層目を光らせて俺を睨んだ。切なそうな、泣き出しそうな目で。やっぱり見たことある。 「そうだな、金稼がなきゃならないんだもんな…援交するぐらい…」 『……っ!』 |