あっという間に一日が終わった。 一日中隣の彼を観察していたが、特に目立つこともなく髪型以外は平凡に感じた。 『(というか、まず授業中毎回寝てるくせにB組なのが不思議。)』 誰もいない教室の中でA組の小鳥遊 忍ちゃんを待つ。 確か忍ちゃんも不動と同じ真帝国とやらなんたやらから転入してきたらしい。忍ちゃんが来たのは数ヵ月か前だったが。 『(まだ真帝国生が居たとはなー)』 時計をふと見れば時針は部活動開始時間の4時を過ぎていた。 妄想を綴っていたネタ帳を閉じてグラウンドが一望できる百合花特別スペースへと向かった。 * * * * * * 珍しくグラウンドでワイワイはしゃいでいる帝国イレブン。 『…鬼道さんが笑ってる』 中学始めから見ていた。 一年と半年、鬼道さんには笑うという笑顔は無かった。 裸眼が見えていた頃は、まだ良かった。入学当初と言うこともあってか愛想笑いが時々垣間見えることがあったのだ。 あのゴーグルを着け始めてから愛想笑いさえ無くなってしまった。浮かべる笑顔は人を馬鹿にするような笑み。 でも、鬼道さんが好きだった。 好きになった理由はちっぽけだけど、この思いはファンクラブの奴等なんかに負けはしない! 『(ち、ちょっと佐久鬼とかアレな考えもしちゃうけど…これもLOVEよ!)』 早速日本代表だった鬼道さん、佐久間、不動を交えて練習試合をやるみたいだ。 双眼鏡を通して見れば右サイドには帝国イレブン…恐らく左サイドは真帝国イレブンであろう。 『いいなぁ…もしサッカー出来るんなら、私も鬼道さんとサッカーしたかったな』 まぁ、もし私がサッカーをできたとしてもサッカー部に入部することは不可能なんだけどさ。サッカー部員に好意を抱いている女子はたくさん居る。 どんなにサッカーが上手な子でも帝国イレブンに好意を抱いている子は入部出来ないらしい。 『(鬼道さん…やっぱり可愛いなぁ)』 * * * * * * その後、帝国イレブン対真帝イレブンの試合が終わり。サッカー部の人達は学園内へと入っていった。 (近付きたいと思ってる内に、貴方はまた少し変わってく。) |