これは神様が妄想をふくらませろと仰られて居られるのかしら。 私の隣は不動明王でした。 『…(モヒカンすげー)』 席替えが終わると同時に授業終了のチャイムが校内に鳴り響いた。 休み時間となると、女の子が喋り始めたり、佐久間が囲まれたりと、とても教室内が煩くなる。 私は大人しく妄想の続きでもネタ帳に綴ろうかと思ったら、私の耳に凛と響く声がした。 「不動っ!」 声がした方に視線を向ければ、大好きで仕方がないあの人が! 『(き、鬼道さんっ!マイスイートエンジェル!)』 一気に顔が熱くなるのを感じた。 高く上げられたドレッドポニー、ミステリアスさを醸し出すゴーグル、良くお似合いな赤マントっ! あぁ!鬼道さん健在!! 高鳴る胸を押さえながら息を荒くする私を友人達は「懐かしい」なんて笑いながら見てる。 私は鼻血が出そうなぐらい辛…いや、幸せだから助け…放っといてくれて構わない! 『ホントに帰ってきたんだぁ…』 ポツリと呟き、遠目で鬼道さんを見つめる 微かにしか会話の内容は聞こえてこないが、懐かしい声を脳内へ響かせる。 「…話を聞いているのか不動?」 「え?…あぁ、まぁな。(あれは確か俺の隣の…なんつったけ。)」 「なら、いいが。…とりあえず、今日中に部活届けを出せ、いいな?」 「へーいへい」 鬼道さんが不動と別れたと同時に休み時間終了を告げるチャイム音。 (あ、ホントに鼻血が) |