「へぇ、驚きの組み合わせね」 背後から響いた聞き覚えのある凛とした声に反射的に振り返った。 「忍ちゃん!」 「…よォ」 「部室前に居ないから帰っちゃったのかと思ったじゃない。」 「ご、ごめん…」 お叱りを受けてしゅんとする私。 「居たからいいんだけど」と笑顔を浮かべる忍ちゃんはとても美人だ。クールビューティーってやつ! 「お前こそ驚きじゃねーの。こういうタイプは嫌いなんだと思ってたぜ」 ハンッと鼻で笑らわれる。 こういうタイプ…どんな捉え方もできる曖昧な言葉に首を傾げると同時に不安を覚えた。 「なっ、それは秘密…!」 「あら、そういの偏見って言うのよ?知ってる?」 嫌な予感はハズレだったようで(忍ちゃんが意味を取り違えたとも言う)、私の言葉は誰の耳にも入らず地に落ちた。 「それにこの子真面目そうな顔してるけど。馬鹿で可愛いのよ」 クスッと忍ちゃんは笑う。 なんだか不動と忍ちゃんは何だか雰囲気が似ているなんてふと思った。 「馬鹿だけど可愛くないよ!」「それ、いい加減聞き飽きた」 「じゃあ、忍ちゃんのも!」 「ふふっ私はいいの。」 「ずるいっ!」なんてキンッと響く声で言えば忍ちゃんは笑いを声に出して「ね、面白いでしょ」と不動に問い掛ける。 どうやら忍ちゃんと不動はとても仲が良いみたいだ。 真帝国が何で帝国に…なんちゃらなんて難しい話(校長先生が朝会で話してたお話とか世界に行く前に佐久間が言っていた愚痴や懺悔)はよく解らない。 だけど、 だけれど、 これだけは私にだって理解できる。 「二人は付き合ってるの?」 「百合花…知ってはいたけどアンタってデリカシーないわよね。そんなわけないでしょ。」 疑問を口に出した私に二人分の視線が突き刺さる。 完全否定する忍ちゃんに釣られてか本当に同意してかどうかは知らないが「おう」と頷く不動。 隠しているのか、それとも… 「ただの友達よ?」 「にしては仲良いよね」 「同じポジションなんだ。仲良くもなるだろ、普通。」 「…ふーん」 「納得してないって顔ね」 疑いの眼差しを向ける私に忍ちゃんはぐだぐだと説明を始める。 だが、妄想と言う名の世界で言葉の数式を繰り広げ始めた私の頭にその意味と結論は入ってこなかった。 @同じ学校×同じポジション =仲の良いお友達(仮定) A別のクラス+世界大会に居た期間 =思いを告げられない距離感(決定) @÷A=仲良しな友達だけれど互いに思いあって居て、だが世界大会という試練で離ればなれになり思いを伝えられなく両片想いの切ない関係の延長線上を現在進行形で歩んでいる途中の少女漫画のような二人 結論:両片想い 「おぉ、なるほど」 「やっと解ってくれた?」 「つか、話聞いてたのかよ」 「え、あ、うん!友達だよね!うん、出来ることがあるなら協力するから言ってね」 「百合花、本当に解ってるの?」 「それぐらい解ったよー」 ニヤニヤと変に笑う私に二人は不安の声を上げたが気にはしなかった。 これって 所謂フラグですね! (私が恋のキューピッド役) |