この際はっきり言わせて貰おう。
僕は円堂くんが、大好きだ。
サッカーを一緒にやろうと言ってくれた、僕たちを、父さんを許してくれた、笑ってくれた。
だから、円堂くんの事が好き。
それはきっと、この先も変わらないと思う。
でもそれと同じくらい、南雲と涼野が好きだ。
円堂くんに対する感情を100の甘い愛だとしよう。
1たりとも、余分なものは入っていない。
それこそまさに、純度100%の愛だと言える。
対して、二人に対する感情は、87の愛と13の砂糖菓子で出来ている。
此処で重要なのは、二人が一緒に居なくてはならない、と言う事である。
二人一緒に居て、やっと87の愛と13の砂糖菓子が合わさり100となる。そう言う訳なのだ。
片方が欠けたなら、13の砂糖菓子がぼろりと何処かへ消滅してしまう。
そうすると、何かが物足りなくて僕は少しだけにがぁい気持ちになる。
(勿論、二人が好きな事に変わりは無いんだけれど、僕の中の好きの理屈のレベルが違うって話さ)
南雲一人でも、涼野一人でも、好きだ。
でも円堂くんには勝てない。
南雲と涼野。二人が一緒に居る。
それは円堂くんと一緒位でもしかすると、円堂くんを上回ってしまうかも、知れない。
うぅん、意味が分からないかも知れないね。
まぁ、つまり言いたい事はこうだ。


「南雲と涼野、二人がずっと一緒に居て欲しいんだよ」


だから早く仲直りでも何でもしなよ。

そう言うと、南雲は眉間に寄せた眉を少しだけ緩めた。
二人が喧嘩するなんて、いつものことだけど、毎回口を挟まずにはいられない。
もうこれは僕の性だと思う。
互いにつまらない事で意地を張って(二人にしてみれば至極真剣なんだろうけど)、ああもう、毎回見守っている僕の身になってみて欲しい。
あぁでも、誰かにこのポジションを変われと言われても、僕はきっと譲らないだろうけど、ね。





13

(それはまぁつまり、二人の愛なんだよねぇ)