きゃあきゃあと高い音が跳ねる。
その中に、自分の愛しい大切な人の物は無いが、つい気になる話題に食い付き、耳を傾けてしまった。
昨日のドラマ、素敵だったね!
うん!家族に結婚を認められないなら駆け落ちだもん!
追い掛けて来たら心中なんて…素敵…!
どうやら昨夜の人気ドラマの感想らしい。
俺は生憎見ていないから、大して気にすることは無いが、一つだけ、引っ掛かった点がある。
――家族に結婚を認められないなら――
(…いつか、そんな日が来るのだろうか)
彼女が何処かの誰かに恋をして、大人になって、その時傍にいた誰かと、結ばれるそんな日が。
来て欲しくはない。
が、必ずそんな日は来る。
それは嬉しい事で、喜ぶべき事な筈だ。
なのに、素直に喜べない自分がもどかしい。
愛しい大切な人が自分から離れていくのは、恐ろしい。
一時は自分から突き放したと言うのに、近くに居ると分かった途端現れる、子供みたいな我儘。
まだまだ彼女は子供だと言うのに、遠い未来の事を勝手に妄想して、恐怖を抱くなんて、可笑しな話だが。
大体彼女が俺の手を振り払ってまで選ぶ未来なんて、来る筈はない。
きちんと、話をしてくれる筈だ。それが、俺の大切な人。
でも、それは本当にこわい。
ゴーグルをしていて、本当に良かった。
こんな顔を見られてしまったら、正直泣かないでいられる自信が無い。
ねえルピナス、
わたしはあ
なたのこ
とを、ずっと
忘
れないでい
られるかし
ら。
「お兄ちゃん、」
「、春奈」
「ごめんね、遅くてなっちゃって…!」
「……いや、いいんだ」
「え?」
「春奈が来てくれたから、いいんだ」
「ふふっ、変なのー」
ほんとうだ、