夢見心地なキス


「やーぎゅ、俺を介抱しんしゃい」



おどけた様に話すも、どこか辛そうにしている仁王君。

透き通る様な白い肌がぼやり、と赤に染まっている。



「やぎゅーの愛が欲しいナリ」



「・・・もう、貴方という人は」



このため息は呆れより、愛しさと方が勝っている様な。

・・・私も大概、重症の様で。



「何故、倒れるまで保健室に行かずにいたのですか」



ベットの横の椅子に座りながら、白銀の髪に指を通す。

熱で汗をかいている所為か少しだけ、濡れている。



「眼鏡を掛けた白馬の王子様が助けに来てくれるんを待っとったんじゃ」



「全く、ご冗談を」



仁王君の言葉はとても甘ったるくて、照れ隠しに笑みをひとつ。

白馬の王子様なんて、そんな・・・・、



「私には勿体無いお言葉ですね」



「やぎゅーが白馬の王子様じゃないちゅうなら、今、ここに居らん」



じゃろ? と得意げな笑みとこちらに一つ向けて、仁王くんは続ける。



「白馬の王子様は姫がピンチになっちゅう時に助けにくるのが相場なんじゃ」



”やき、やぎゅーは白馬の王子様じゃ”

私を見返す優しげな瞳は私しか知らない、仁王君の一部。

こんな表情は私にしか見せてくれない、不思議と優越感が沸く。



「・・・貴方にはいつまで経っても敵いませんね」



私を夢中にさせる、正に、魔性という言葉が似合いましょう。

苦笑いしながら、まどろみの中の仁王君の唇にキスを落とした。



・・・嗚呼、仁王君の甘さで私は糖死してしまいそうです。




夢見心地なキス


(唇の熱が2人だけの白い空間で溶けてゆく)


written by,花曇(Zigg-Zag.
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