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皆さんはご存知だろうか?
Mabbit Rabbit Coffee
通称 "マビ"
私はそこで働いている
元々はただのお客さんだったけど(笑)
私の学校はカフェの近くにある
だから朝、学校の前やお昼休みの間
私はよくマビに来ていた。

私がバイトを始めるきっかけの日
そう、あの日はとても暖かかった…


暖かく日差しがきつくない
この日は絶好のテラス日和。
テラス席でのんびりとコーヒーを飲んでいた


『…ヨボセヨ?』

親友からの突然の電話
テラス席だし、周りに他のお客さんも
いないから電話に出て話していた


『え?うん、そう。一人暮らしだし
そろそろバイトでもしないとなーって。
うん…まだバイト先は見つかってないよ』


その時はっと気付いた。
お店の人がこっちをじーっと見ている
まずかったかな?そう思って電話を切った

するとアジマがこっちに近付いて来た


「いつもご来店ありがとうございます」
『あっ、いえ…学校から近いし、落ち着いた
雰囲気が大好きなんです、私』
「いつも朝かお昼しか来ないわね?」
『えぇ、学校の前か合間に来るだけで…』
「あなたは…イェソンって人知ってる?」
『イェソン?誰ですか?それ』


確かここは息子さんがいたはずだけど
名前はジョンジンだったはず…
決して イェソン なんて名前ではなかった


「知らないならいいのよ。ねぇ、あなた
バイト先を探しているのね?良かったら
ここで働かない?お給料は弾むわよ」

そう言ってウインクしてくれるアジマ
コーヒーもつけるわなんて言われたら
OK出すしかないじゃない(笑)

私は平日の夕方と土日の夕方〜閉店まで
働く約束をし、マビでのバイトが決まった



仕事を覚えるまでは平日の夕方と
土日の朝〜お昼までがメインだった
そして仕事を覚え、ひとり立ちが出来る
ようになったころ、はじめて土日の夕方
働くことになった。この時イェソンという
謎の人物と対面することになる


「新しいバイトの子?」
『えぇ、そうですけど…
失礼ですが、あなたは?』
「……知らない?」
『申し訳ないんですが、存知あげません』
「ジョンウン。ジョンジンの兄貴だよ」
『そうでしたか!私は南緒です
よろしくお願いします、ジョンウンオッパ』
「よろしく…17時からは俺がレジするから
南緒はコーヒー作ってて」
『あ、はい…』


そう言ってスタスタと店の方に歩いて行く
え?サングラスつけたままレジするの?
いいの?そう思ってアジマの方を見たが
「頑張ってね」と微笑まれただけだった


ジョンウンオッパがレジに出てからは
凄い行列だった。コーヒーもケーキも
ずっと入りっぱなしで、休む間もない
確かに少し前から満席状態が続いていたけど…
こんなに一気に来るものなの!?


『カフェラテでお待ちのお客様〜』(韓国語)


どれだけ読んでもお客さんが取りに来ない
この間にもコーヒーのオーダーは溜まって行く
もう!忙しいのに!と少しイライラした
すると横からすっとジョンウンオッパが
コーヒーを取って呼んだ


「カフェラテ出来たよ、イルボンエルプ」
(日本語)


……日本語?
ジョンウンオッパ日本語話せるの?
イルボンエルプって何?名前?


女の子は「ありがとうございますっ」と
笑顔でコーヒーを受け取って行った
近くにいたのならさっさと私の
コールに気付いて欲しかった←


それからは何回も聞くことになった単語
イルボンエルプ、イェソンオッパ、兄さん
ジョンウンオッパも聞くけど、圧倒的に
イェソン、と呼ぶ人の方が多かった

そういえばアジマが言ってたっけ?

あなたはイェソンを知ってる?って…


ジョンウンオッパがイェソンさんなの?
帰ったら調べてみようかな…


そう思った土曜日の夜だった






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