23

急いで表に回ると、リリーは既に医務室に運ばれていた。
私も急いで医務室に向かった。



 ガチャ
『リリー…?』
「エリー、あなたは無事?」
『うん、私は何ともない。ジェームズ達といたから』
「そう。良かったわ」
『大丈夫…?ごめんね。リリー』
「エリーが謝る事じゃないわ。そうでしょ?」
『でも私のせいでリリーは…』
「違うわ。悪いのはあの人たち。それに私は軽傷よ。
 エリーは何も悪くない。分かった?」
『うん……』
「ふふ。そんな顔しないで、ね?」
「さぁさぁ、治療をしますよ!エリー・エバンズは外へ」
『はい、マダム。リリー、外で待ってるね』
「えぇ」


医務室の外でリリーを待つ。
自然と出るのはため息


「大丈夫かい?」
『あんまり…』
「今回のことは僕達に任せてよ!
 可愛い悪戯で仕返ししとくからさ(ウインク)」
『……うん、お願いするわ』
「そういえば…スラグホーン先生が良い物を持ってたんだって?」
『あぁ…登録した人がどこにいるか分かる装置?
 いま実験中だとか言ってたけど…それがどうしたの?』
「スラグホーン先生もたまには良い事考えるなと思ってさ」
『そう?』


この時は気付かなかった。
今日の出来ごとがきっかけに、この天才による
秘密の地図作りが開始されていたなんて、ね。
私がそのことを知ったのは随分後の話…




「エバンズはどうだ?」
「中で治療中。僕達は追い出されたよ」
「そうか…」
「犯人達は?」
「フィルチから罰則が与えられるらしい。
 スラグホーン先生は自分のお気に入りの
 エバンズにケガをさせたとお怒りだったよ」
「僕が罰則を与えたいくらいだよ!!」


ぷりぷり怒るジェームズに笑うと
シリウスはこちらに歩み寄って来た。


「大丈夫か?」
『えぇ…シリウス、あの…』
「気にするな。な?」
『うん……』

ガチャ
「ありがとうございました」
『「リリー!!」』
「お待たせ、エリー。あら、あなた達までいたの?」
「当たり前じゃないか!リリーが心配で心配で…」
『ねぇ、リリー。大丈夫?』
「大丈夫よ、エリー。さっきも言ったでしょう?
 血は出ていたけど本当にかすり傷なのよ。もう平気よ」
『良かった……』
「待っててくれたのに悪いんだけど、ダンブルドア先生の所へ
 行かないといけないの…先に談話室に戻っててくれない?」
『え、でも…』
「僕がついていくよ」
『え?』
「なんであなたが来るのよ。ポッター」
「エリーより頼りになると思うけど?」
『それはそうかもしれないけど…』
「エリーはシリウス達と戻って。
 リリーはちゃんと僕が送り届けるから」
「そうしようぜ。ジェームズがいれば誰も仕掛けてこないだろ」
「うん。エリーと二人でいるよりは安全だと思うな」
「……分かったわ。そうしましょう。エリー」
『いいの?リリー』
「ダンブルドア先生をあまり待たせる訳にも行かないもの
 すぐ戻るから、ルーピン達と談話室で待っててくれる?
 何があるか分からないから絶対一人にはならないでね。」
『うん、わかった。ジェームズ、リリーを守ってね』
「当たり前だろ?さぁ、行こう、リリー」
「リリーって呼ばないで。じゃあまた後でね」
『うん……』


歩きだしたリリーとジェームズの後姿を見送る。
リリーが無事で本当に良かった……


「ほら、俺達も行こうぜ」
「そうだよ。ずっとここに立っている訳にもいかないし」
『うん……そうだね…』


私達は談話室に向かって歩き出した。




<リリーside>


はぁ…まさかあんな目に合うなんて…
私…強がってみせたけどやっぱり怖かった…
あんな目に、ううん、それ以上の目にエリーは
合ってきたのよね…ホグワーツの生徒と死喰人じゃ
レベルが違いすぎるわよね。
私達…どうなっちゃうのかな…


「リリー」
「なに?立ち止まらないでよ
 ダンブルドア先生を待たせるわけには…」
「………」
「…?なんなの?本当に…」
「大丈夫だよ」
「は…?」
「これからは僕達が守るから。
 もう絶対、君もエリーも、
 あんな目に合わせないから」
「なに言って……」


そう言うとポッターは私を抱きしめた


「なっ、なにするのよ!?」
「もう大丈夫だよ…僕がいるから…」


そう言ってぽんぽんと背中を叩くポッター
まるでママにされているかの様な叩き方で…
その手はひどく優しかった。


「なに、よ…ポッターのくせに……」
「はは。そうだね。僕しかいないんだから
 泣いたって、恰好悪い所見せたって平気さ」
「なによ…なによ…(泣)」


ポッターの胸を借りて泣いてしまった。
またダンブルドア先生の所へ行くのが遅くなってしまう
でもこれくらいの時間、許して下さい。先生。






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