20

「ねぇ、エリー。もうすぐセブの誕生日ね」
『もう!?あぁ…私だけホグワーツに戻ったのが遅いから
 なんだか日付け感覚が狂っちゃってるわ…』
「こないだクリスマスしたじゃない、くすくす
 その時は前日から楽しみにしていたようだけど?」
『う、そうでした……』
「今年は何をあげる?」
『うーん…まだ考えてなかった。リリーは?』
「私も良い物が思い付かなくて…」
『少し考えてみるわ!まだ時間はあるもの!』
「そうね。また思い付いたら教えて?」
『ええ。リリーもね』
「分かったわ。じゃあ私はスラグホーン先生のお手伝いに行くわ」
『スラグホーン先生によろしくね』


リリーと分かれて中庭に向かう。
日当たりの良さそうなベンチを見つけ座ると、
すぐにジェームズが側に寄ってきた。


「やぁ、エリー」
『あらジェームズ。リリーはいないわよ』
「ははっ!スラグホーン先生の所に向かうのを見たさ」
『………ストーカーは辞めて欲しいんだけど…』
「違うよ!たまたまさ!君を探していたら見かけたんだよ!」
『わたしを探していたの?珍しいわね』
「満月の夜のお月見の話さ。リリーがいたら困るだろう?」
『あぁ、お月見の話ね。今月はマイナス1でしょ?』
「あれ?もう聞いてたのかい?」
『昨日聞いたところよ』
「そうか。マイナスは今特訓中だよ」
『鬼教官が鍛えているのね?ふふ』
「あぁ。今頃ヒーヒー言ってるんじゃないかな?(笑)」
『ふふ。なんだか想像出来ちゃうわね』
「今月は三人だから狭いよ」
『狭い…?え?あの中に三人入るの?』
「だって僕達のは全員大きいだろ?今のサイズで行く方が
 小さくて、中にも入りやすい。仕方ないよ」
『そうね…小さな動物だったら良かったのにね』
「あぁ、ちなみにマイナス1がポケットサイズだよ」
『そうなの?ポケットサイズだなんて…ふふ』
「少し見に行ってみるかい?」
『そうね、特にする事もないし…行こうかな』
「こっちだよ」


ジェームズと一緒に歩き出す。
するとふいにジェームズが顔を寄せてきた。


「エリー、振り向かないで聞いて。
 後ろでずっとスリザリン生がこっちを見ていたようだけど
 エリーは心当たりあるかい?」
『……ないわ。スリザリンにいる知り合いはセブだけよ』
「そうか…上級生のようだし、思い過ごしかな」
『ジェームズを見ていたんじゃないの?』
「あぁ、そうかもしれないな!僕は人気者だからね(ウインク)」
『その減らず口を縫ってあげましょうか?』
「やめてくれよ(笑)」


ジェームズとふざけ合いながら、念の為スリザリン生に
必要の部屋がバレないように出来るだけ遠回りをして歩く。
なんとかまけたようで、急いで必要の部屋に入った。


「調子はどうだい?」
「はぁ……相変わらずだ。安定しない。
 ん?エリーを連れて来たのか?」
「あぁ、暇そうだったから」
『拉致られてきたの』
「とうとうジェームズも犯罪に手を染めたか…」
「え!?ちょっとひどくないかい!?
 それが親友に対する仕打ちかい!?シリウス!!」
「親友だからこそ、悪い行いをしたら止めてらねぇとな」
「ピーター!助けてくれよ!」
「えっ!?ぼ、僕…!?」
『ふふ、ねぇ。ペティグリューはどこまで出来るの?』
「完全に変身出来る事もあれば、部分的しか出来なかったりだ」
『あと少しね』
「そのあと少しがなかなか進まないんだよな…」
『私だって何年もかかったんだから当然よ。
 簡単に成功させるあなた達二人がおかしいのよ』
「そうそう。仕方ないよ。僕が天才なだけさ!」
『なんかムカつくわね』
「そう怒らないでよ、エリー」
「エリーからアドバイスやってくれ」
『アドバイスねぇ……うーん……自分が変身する動物を
 ずっと頭の中にイメージしておけばいいんじゃない?』
「それはいいかもね。ピーターはもう自分がネズミになるって
 分かってるんだから、イメージはしやすいだろう?」
「うん。わ、分かった。ところで…その…
 エバンズは何になるの?動物…」
『あぁ、ヒッポグリフよ』
「ヒッポグリフ…?」
『知らない?いいわ、見ててね』
「……ひっ!」
「いつ見てもデカイな」
「叫びの館にいるには狭そうだよね」
『ペティグリュー、これがヒッポグリフよ』
「つ、強そうだね…」
『まぁ、そうね。ネズミなんて一口かもね』
「たたた食べないでね…っ」
『ふふふ。食べないわよ』
「ピーターなんか食べても美味しくないだろ」
「ははは!確かにそうかもね」


やっぱりこの人たちと一緒にいるのは楽しい。
リリーだって最近は笑顔になることもあるもの。
ホグワーツに来るまでは魔法使いの友達はセブだけだったけど、
私にもたくさんの魔法使いの友達が出来てとても嬉しい…
でもなんだか…眠くなってきちゃった…


「エリー?眠いの?」
『うん…なんだか急に眠くなってきた…』
「どうする?少しここで寝る?」
「そうしろよ。俺達はピーターの特訓だ」
「う、うん!頑張る!」
『そう?じゃあお言葉に甘えて少しだけ寝るね…』
「「「おやすみ」」」
『おやすみ』


そして私は眠りについた。




[ 80/216 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]