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「エリー?」
『シリウス…?一人?』
「あぁ、エリーもか?」
『えぇ。さっき談話室でリーマスに会ったわ』
「リーマスなら体調崩して医務室に行ったぜ」
『そっか…もうすぐ満月だもんね…』
「あぁ、今月は俺もついて行ける。
 ピーターはちょっとやめといた方がいいかもな」
『そう…分かった』
「…まだジェームスにも見せてないんだ。
 先にエリーに見せてやるから来いよ」
『そうだね。まだ時間あるし…行こう』


シリウスのアニメ―ガスは何だろう?
さっきまで怒りと悲しみでいっぱいだったけど
ちょっと楽しみだな…

シリウスと必要の部屋に来た。
先にシリウスが部屋の前に立ち、目を閉じる。
わたしは後ろでそれをぼーっと見ていた。

普段の姿からは全然想像つかないけど、
シリウスも純血一族の出身なんだよね…
闇の家系、だとか言ってたっけ?
そんな家系に生まれてもこうやって
闇にハマらずに自分の意思を持っているのに。
ううん、シリウスが強いだけ…
セブは弱くなんかないわよね…?


「エリー?何やってる?入らないのか?」
『あぁ、ごめん。ちょっと考えごとしてた!』
「俺のアニメ―ガスより興味のあることがあるのかよ」
『そんなんじゃないよ』


シリウスと必要の部屋に入る。
今日もとても綺麗な部屋だけど、いつもと違ってソファと
美味しそうな紅茶、そしてクッキーやチョコレートが置いてある。


『わぁ…紅茶まで用意してあるなんてさすがね、シリウス』
「外にいたなら冷えてるだろ?温かい紅茶でも飲みながら
 俺のアニメ―ガスを見てろよ」
『そうするわ!ありがとう!』


シリウスが用意してくれた紅茶を飲むと
昔、セブが入れてくれた紅茶の味とよく似ていた。
必要の部屋は懐かしい味まで再現出来るのだろうか…?


「エリー…?大丈夫か?なんで泣いてるんだ…?」
『え…?あー…ちょっと昔を思い出して…』
「悩み事なら話聞くけど?」


シリウスはわたしの横に腰かけた。
とても心配してくれている優しい瞳を見たら、
涙はますます溢れて来て止まらなかった。
そしてわたしはしばらくの間、シリウスの胸の中で泣いた。


『もう大丈夫、ごめんね。シリウス』
「あぁ、俺は平気」
『みんなには内緒にしておいてね?恥ずかしいから(笑)』
「あぁ、分かった(笑)」
『さて!それじゃあシリウス君のアニメ―ガス見せて貰おうかな?』
「話は聞かなくていいのか?」
『あぁ…いい、いい!泣いたらすっきりしちゃった!』
「よし!じゃあ見せてやるか!」
『よっ!待ってました!!』
「行くぞ?」
『……わお!大きな犬!黒くて凄くかっこいい!』
「わんっ」
『触っていい?わっ!毛並みもふわふわ!!気持ちいい〜!』
「わふっ」
『あぁ、ごめん(笑)もういいよ!』
「もう安定してるから一緒に行ける」
『あとはペティグリューだけかぁ…』
「時間見つけて特訓しとく」
『うん、頑張ってね』


シリウスと必要の部屋で少し話してから
別々に談話室に戻った。
ほら、リリー達に見つかるとめんどうでしょ?
泣きはらした目はごまかしにくかったけど…
冷やしていたおかげでなんとかごまかされてくれて良かった。

これから私達は前みたいに戻れるのかな…
それだけがずっと頭の中から離れなかった。




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