18

次の日の朝、私はリリーにバレないように部屋を抜け出した
もちろんセブに会いに、中庭に行くためだ。
こそっと扉を閉める…
よし、誰にもバレずに抜け出せたようだ


「早起きだね」
『…っ!?リ、リーマス…?』
「ごめん、驚かせちゃった?」
『ううん、リーマスこそどうしたの?』
「僕はいつも早起きだよ(笑)」
『あっそっか…私が知らないだけ?』
「うん。そうだね(笑)」
『でもこんなに早起きだなんて』
「うん、いつもよりは早いかな?
 今日はシリウスと約束してるんだ」
『なんの約束?』
「ジェームズのおつかいを果たすためにちょっと、ね」
『ふーん…危ないことばかりしちゃだめよ?』
「ははは。大丈夫さ。僕が見張ってるから」
『じゃあ私行くわね!あぁ、そうだ。
 リリーには内緒にしておいてくれない?』
「うん、分かった」
『じゃあまたね』
「気をつけてね」
『リーマスも』


ちょっと急がないと…
セブがもう待ってるかもしれない

急ぎ足で中庭に行くとセブが本を読んで待っていた


『ごめん、セブ。待った?』
「いや、今来たところだ…」
『良かった。あのね…話があるの』
「どうした?」
『最近どう?学校は…楽しい?』
「……普通だ」
『そっか…スリザリンってどうなの?仲良い?』
「仲は悪くない。仲間意識は強い…と思うが…」
『そっか…ほら、他の寮のことって分からないじゃない?
 だからちょっと気になって…って何の本読んでるの?』
「あぁ…ルシウスから頂いた本だ」
『………それ、見せて』
「だめだ」
『隠さなくたっていいじゃない』
「エリーには必要ない」
『リリーには黙ってるから!』
「そういう問題じゃ…あ!」
『やっぱり…最近出た闇の魔術の本ね…
 マルフォイもどういうつもりなの?
 セブにこんな危ない本渡すなんて…』
「僕が頼んだ」
『えっ…?』
「もっと力が欲しいと思って。
 エリー、こちら側に来い。
 僕がルシウスに頼んで入れてもらおう」
『なんですって?こちら側に来い?
 セブ、あなた自分が何言ってるか分かってるの?』
「あぁ。エリーこそ忘れたのか?僕はスリザリンだぞ」
『そんなの関係ない。寮なんて関係ないんだよ、セブ
 あなたこそ思い直して。闇にはまってはだめよ』
「僕にはもう時間がない」
『時間ならたくさんあるじゃない!』
「リリーを守るためなんだ…っ!」
『こんな守られ方してもリリーは喜ばない!!』
「エリーには僕の気持ちは分からない」
『セブがどれだけリリーを想ってきたかは知ってるわ』
「……好きな女の子に助けられる僕の気持ちが分かるか?
 ポッターやブラックさえいなければ、僕達はもっと
 うまくやれてたはずなんだ。それをあいつらが…」
『違うわ。ジェームズやシリウスも悪いけど、
 闇にハマりすぎたあなたにも原因はあるのよ。
 リリーはいつも心配してるわ。お願いだからセブ。
 昔の優しいセブに戻ってよ……』
「僕は…変わってなどいない…」
「セブルス、こんな時間から逢引か?」
「ルシウス。いや、何でもない」
「おやおや、可愛らしいお嬢さんではないか。
 私はルシウス・マルフォイ。お名前を教えてくれるかな?」
『エリー・エバンズです、マルフォイさん』
「あぁ、双子の子だね。セブルスと仲が良いそうだね」
『はい。大切な幼馴染ですので』
「セブルスの友達は私の友達だ。よろしく」


ルシウス・マルフォイ。
由緒正しき純血一族、マルフォイ家の長男。
プラチナブロンドの似合う美男子。
彼がどうしてここにいるのかなんて知らないけど…
わたしに向かって胡散臭そうな笑顔で握手を求めている…
はぁ…しょうがない…握手だけでも…


『よろしくお願いしま…っ!?』


わたしが手を差し出した瞬間、マルフォイはわたしの手を引っ張り
あろうことか頬にキスをしてきた!!


『なっ…っ!?何をするんですか!?』
「軽い挨拶のつもりだったが?
 あぁ、彼氏に怒られてしまうかな?
 頬くらいいいだろう?ただの挨拶だ」


このにっこり笑顔がとても腹立たしい。
この人はエセ紳士なんだろうか?


『彼氏なんていません!失礼します!』
「おやおや。行ってしまった。
 邪魔して悪かったな、セブルス」
「いえ……」


なんて、なんて嫌な奴!
頬にキスは確かに挨拶でするけど…
あんな騙したみたいなやり方が気に食わない!
ぜっっったい許すもんですか!





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