15

「エリー」
『どうしたの?シリウス』
「一人か?ちょっと助けてくれ」
『一人だけど…なに?』
「説明してる時間がない。
 俺の話に合わせてくれたらいいから」
『???でももうすぐリリーと』
「すぐ終わる」
『うん…分かった…』
「ここにいたのね、シリウス。……どこに行くの?」
「だから、俺は今から用があるんだ」
「どんな用件か応えられなかったじゃない」
「今からこいつに勉強を教えてもらうんだ。な?エリー」
『んえっ!?あ、そうなんです…私、勉強得意なので…』
「そんなの私だって…」
「学年一位だから、何でも分かりやすく教えてくれるしな」
「…っ」
「と言うわけだから…じゃあな」
『さようなら…』
「行くぞ、エリー」
『うん…』


シリウスに肩を組まれたまま逆方向に歩きだす
気になって振りむけば、女の人は鬼の様な顔をしていた…


『こわっ…』
「振り向くなよ(笑)」
『だって気になって…でも良かったの?
 シリウスの彼女なんじゃないの?』
「違う。ずっと追いかけ回されてうんざりしてたんだ」
『そうなんだ…モテるって大変だね』
「まぁな。助かった。サンキュ」
『貸しだからね。』
「どうやって返せばいいんだ?(笑)」
『そうね。夏休み期間中の本の提供で手をうつわ』
「そんなのお安い御用だ」
『よろしくね』
「おう。エバンズとの待ち合わせはどこだ?」
『あそこよ。先生の手伝いが終わったら中庭に来るって』
「エリー!!」
『噂をすればリリーだ。じゃあね、シリウス』
「あぁ、また寮で」


「お待たせ、エリー。ブラックといたの?」
『ううん、さっきそこで会ったの。利用されただけ』
「利用されたって…何されたのよ」
『女の人追っ払うの手伝だったの。付きまとわれてたんだって』
「それもこれも全てブラックがフラフラしてたから悪いのに。
 なんでエリーに手伝わせるのよ、全く。大丈夫だった?」
『えぇ。すぐ諦めてくれたわ』
「じゃあいいわ。行きましょう」
『うんっ』


この時は思わなかったんだ。
この行動がますます私達を困らせることになるなんて…





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