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『あぁ!もう!またない!!』
「私もよ、エリー。」
「またなの?」
「最近多いね。」
『ピープスでも近くにいるの!?』
「ピープスはいないけど、スリザリン生ならいるわよ」
「アリアナ、聞こえたらどうするのよ」
「いいじゃない、別に。絶対あいつらの仕業よ」
『ねぇ、リリーとアリアナも早く探してよ〜』
「そうだよ、早く探して〜」
「はいはい。」
「リリー、何してるの?」
「今はあなたにかまっている暇はないの、ポッター」
「お探し物はこれかい?」
『それ!探してたの!私の教科書!』
「私のも持ってるわ…隠したのあなただったの?」
「違うよ!僕が二人に悪戯する訳ないだろう!?」
「教壇の後ろに隠されていたよ」
『ありがとう、リーマス!』
「ちょっとエリー。見つけたのは僕なんだけど」
『ありがとう、ジェームズ』
「助かったわ、ポッター。ありがとう」
「リリーのためならいいんだよ!!」
「はいはいどうも」


リリーとジェームズのやり取りを見つめる。
いつもの光景だけど、なんだか安心する


『あれ?そういえばシリウスとペティグリューは?』
「前にいるよ。先生のお叱りを受けているところ」
『あぁ…また何かやったの?』
「シリウスが何もしなかったから怒られてるんだよ(笑)」
『何かをしてもしなくても怒られる運命なのね(笑)』
「まぁ…ピーターだけじゃ結果は見えているしね」


残念ながらピーター・ペティグリューは落ちこぼれだ。
天才肌のジェームズ・ポッター。
なんでもこなしてしまうシリウス・ブラック。
努力型のリーマス・J・ルーピン。
どうして彼らがペティグリューと一緒にいるのか
分からないくらい、勉学の差ははっきりとしている。
もちろん友達って勉学だけじゃないのは分かっている。
でもお世辞にも気が合う様な性格には見えないんだけど…


「あ〜、終わった終わった」
「おかえり、シリウス」
「おう。エリー。また失くし物か?」
『もう見つかったよ』
「最近多くないか?」
『うーん…そうなのかな…』
「…何かあったら言えよ(頭ぽんぽん)」
『うん、ありがとう』
「うし。行くぞ、ジェームズ!」
「え!?僕はまだリリーと話していたい!」
「さっさと連れて行って、ブラック」
「リリー!そんなぁ!?」
「行くぞ。」
「私達も行きましょう」
「そうね」
『あ、待って!!』
「エ、エバンズ……!」
『…?ペティグリュー…?』


小さな呼び声に気付いて振り向くと
先程シリウスと共に怒られていた
ピーター・ペティグリューが立っていた。


『三人を追いかけなくていいの?』
「あの…その…君はエリーだよね…?」
『あぁ、そうよ。エリーの方だけど…
 もしかしてリリーと話したかった?呼ぼうか?』


そう言いながら少し先に行ってしまっている双子を見る。
三人はまだ私が付いてきていないのに気付いていないみたい


「ちがっ、違うんだ。君に話。」
『私に話…?なに?』
「今月は一緒に行けそうだよ…」
『え!?二人とも成功したの!?』
「ぼ、僕はまだ不安定だけど…シリウスは、完璧」
『凄いじゃない!やるわね!見直したわ!』
「あ、ありが、とう…」
『安定するまで頑張って。じゃあまたね』


急いでリリー達を追いかけてそっと会話に入っていく。
どうやら後ろにずっといたと思ってくれたみたい!
それにしてもペティグリューまで成功させるとはね…
最近はずっとジェームズと二人で行ってたけど
今月は四人で行けそうね!
リーマスも驚くかしら?ふふふ


「ねぇ、マクゴガナル先生に言った方がいいんじゃない?」
『えっ!?な、何を言うの…?』
「なんでエリーが動揺するのよ。
 最近の失くし物の多さ。ちょっと異常よ」
『あ、そっち、ね…』
「誰かがわざと隠してるって言いたいの?」
「えぇ、そうよ。リリー」
「……そうね。確かにそうかもしれないわ」
「だったら今からでも」
「でももう少し様子を見るわ。」
「リリー!」
「まだ犯人がスリザリン生って決まった訳じゃないもの」
「あのね…この際だからはっきり言わせてもらうけど。
 私達とスリザリン生は仲良く出来ないのよ?
 あなた達の友達のセブルス・スネイプだって
 他のグリフィンドール生には氷のように冷たいわ」
「私も…二人がなんでスネイプと友達なのか理解できないよ」
「だってセブは…」
『大切な幼馴染だもの。ね?リリー』
「えぇ、そうね。エリーの言う通りよ。」
「本当それだは理解できないわ…」
『じゃあこうしない?もう少し様子を見て
 被害が増える様だったら先生に相談する。どう?』
「それでいいわ。早く次の教室に行きましょう」


ほっとした…
てっきりアニメ―ガスのことがバレたのかと…


「ねぇ、エリー」
『なに?リリー』
「私達は…今もセブの大切な友達よね?」
『???当然でしょう?大切な友人よ、いつまでもね』
「そうよね…ありがとう」
『どういたしまして…?』


リリー、どうしたんだろう?
なんだか暗い顔してる………


「やぁ!リリー!」
「はぁ…毎回毎回、授業の度に飽きないのね」
「それほど僕の愛は大きいってことだよ!」
「呆れた…」


そうだ。
ジェームズとセブを足して割ればいいのに。
そしたらちょうどいい愛情表現になるんじゃないのかな?


「エリー。何ニヤニヤしてるのよ」
『ふふ、なんでもない』
「変なエリー…」


リリーには失礼な事を言われたけど
授業が始まるので、大人しく席に着いた。
次の授業は"魔法史"
私達が眠りについたのは言うまでもない。





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