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シリウスからのお誘いを受けてから三日
今日も早く寝よう、とベッドにいそいそと
潜りこんでいると枕元にリリーが立っていた
なんだかそわそわしているみたい…
こっちにまで伝わってくるほどだからよっぽど


『……何?リリー』
「エリーに聞きたいことがあって…」
『どうしたの?座って』
「うん…あのね…ブラックのこと」
『シリウス?』
「三日前、言われたの。エリーをデートに誘ったって」
『あー…ホグズミードに行こうとは言われたわよ』
「エリーはOKしたの?」
『リリーがいるからって言ったらシリウスは
 "エバンズには俺から言う"って言ってたわ
 そういえばなんだったんだろう…あれ…』
「本気みたいよ、二人で出掛けるの」
『そうなの?どういう風の吹きまわしかしら』
「ホグズミードに行くまでの一週間、セブに意地悪しない
 約束をしたわ。そうすれば行ってもいいって言ったの」
『えっ!?そうなの?リリーは誰と行くの?』
「アリアナ達と行くわ」
『ふーん…私の知らない所で話が進んでるなんて…』
「嫌なら行かなければいいだけよ、ね?」
『そうね。それに意地悪しないなんて無理よね(笑)』
「えぇ、とにかく様子を見ましょう」
『分かったわ、リリー』
「それだけ。じゃあ…おやすみ」
『おやすみ』


リリーも自分のベッドに入ったのを確認して
私もまぶたを閉じてみたけど、なんだか
シリウスのことを考えてしまってなかなか寝れなかった




そして一週間後…
私は今ホグズミードにいる
そう…シリウスと二人で


『まさか本当に来ることになるとはね』
「いや…だったか?」
『嫌じゃないけど…意外だった』
「俺だってやれば出来る(ふふん)」
『なにそれ(笑)なんでちょっとドヤ顔なの?』


くすくす笑うと、笑うなって小突かれた
ちょっと顔が赤い…(笑)


『やれば出来るシリウス君、私バタービール飲みたい』
「三本の箒に行くか。今日は一段と寒いしな」
『うん、行こうっ!』


振り返り、シリウスの腕を取って両手で引っ張る
シリウスも笑顔で歩き出す
寒いからとくっついて歩く二人ははたから見ると
恋人同士みたいだったかもしれない…
でもそんなこと、その時は考えてもみなかった
それを誰に見られているかなんて知るはずもない


『シリウス、一緒にバタークッキーも食べよう』
「あぁ、バタービール二つとバタークッキーひとつ」
「あいよ」
「会計これで」
『あっ!シリウス、お金っ』
「いいって」
『でも…』
「これくらい、いい。」
『じゃあ…ありがとう』
「おう」


ありがたくおごってもらうことにした
さすが御曹司〜なんて茶化したらきっと
シリウスは嫌がるだろうからやめておこう


『美味しい…あったまるね』
「ん、俺には少し甘い」
『えー!リーマスだったら砂糖追加しそうだよ!』
「あいつが甘党なだけだろ?(笑)」
『そうだけどね〜(笑)』
「…あのさ」
『なに?』
「ケガが無くて良かった」
『ふふ、大丈夫だよ、ジェームズがいたし』
「そうだけど…ジェームズがいても心配だった」
『だったら早く完成させてよねっ(笑)』
「今月には間に合わせる」


ニカッと笑うから、私まで笑顔になる
心までポカポカするのはどうやら
バタービールのせいだけではないらしい





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