『はぁ、疲れた…』
「お疲れ様、エリー。紅茶を飲むかい?」
『リーマスが淹れてくれるの?』
「もちろんだよ」
『飲む飲む〜!リーマスとセブが入れる紅茶って
 なぜだか凄く美味しいんだよねぇ…不思議!ふふふ』
「あら、私も混ぜて欲しいわ」
「僕も!」
「リーマス、俺はコーヒー」
「シリウス、君は自分で淹れなよ」
「リーマスが淹れるコーヒーが飲みたい」
「全く…君って本当にわがままだね」
「て、手伝うよ、リーマス…」
「ありがとうピーター。シリウスも見習ってよ」
「気が向いたらな」
「………」
「そうだ、リーマスにチョコレートやるよ」
「本当?」
「あぁ。ババァがレギュラスに送ってきやがったんだ」
『レギュラスって誰?』
「ほら、シリウスの弟だよ!」
「一緒に見たでしょう?彼がスリザリンに入るのを」
『あぁ…あのイケメン君ね…』
「でもレギュラスとは仲が悪かったんじゃないのかい?」
「そこまで悪くない。量が多いから友人とどうぞって」
「えっ、これをくれたのかい?」
「あぁ。全部食べていいぞ」
「これ…凄く有名な洋菓子店のチョコじゃないか!
 シリウス……喜んでコーヒーを淹れさせて貰うよ」


リーマスはチョコレートを貰いルンルンで
シリウスのコーヒーと皆の紅茶を淹れにいった
ピーターはちゃんとついていった、偉いな…


「それにしてもエリー、毎日大変みたいだね」
『そうなのよ!授業に補習に練習に…
 もう毎日くたくたよ!!…でも楽しいわ』


学校に来れなかったあの日々に比べれば
こんなに楽しいことはないわ
毎日がキラキラと輝いているもの


「そうだ、エリー。これを君に」
『…? 何なの?手紙?』
「絶対に一人で見てくれ、と伝言付きさ!」
『ふーん…分かった、ありがとう』
「紅茶が入ったよ」
「待ってました!」


そのあと珍しくリリーとジェームズが言い合う事もなく
6人でワイワイ楽しい時間を過ごせて本当に幸せだった



そして夜…
私はこっそり女子寮を抜け出して談話室にいる
なぜかって?それは夕方貰ったジェームズからの手紙を
一人でこっそり読んだから、ここにいるの


「お待たせ、エリー」
「わりぃ」
『いいわよ、行きましょう』


三人でジェームズの透明マントに隠れる
子供とはいえもう四年生…
やっぱり三人で入るのはきつい


「ジェームズ、もっと端によれよ」
「無理だよ!僕が出ちゃう!」
「いっそのこと出ろ」
「僕のマントだよ!」
『ちょっと痛い!誰よ!足踏んだの!』
「僕じゃないよ!いたっ!」
「ちょっと黙れ!!」


シリウスに言われて黙る二人
にゃあ、とフィルチの猫が鳴いたのが分かった


「急ごう。ミセスノリスが近くにいる」


黙ってもくもくと歩く三人
無事、必要の部屋に着いた時には冷や汗で
びっしょりになっていた…気分は最悪だ


『あぁ、最悪。お風呂入りたい』
「一緒に?」
『ば、ばかじゃないの!』
「顔が赤いぜ」


パタパタと手を扇いで風を送ってみる
もう…シリウスが変なこと言うから…


「……本題に移ってもいいかい?」
「あぁ、いいぜ」
『そうだったわね、アニメーガスの事ね?』
「あぁ。僕もシリウスもなんとなく形は
 みえてるような気がするんだけど…」
『私はなれたわよ?』
「「えっ!?」」
『ホグワーツに戻ってきてから一度だけ
 ここに来てやってみたら、なれたのよ』
「まぁ一番エリーが進んでたしな…」
「でもまさか僕がエリーに抜かれるなんてさ…」
『ふふん。本気になってやった期間が違うもの』


私は一年生の頃から真剣にやってきたのよ?
出遅れてる二人に負ける訳ないじゃない(笑)


「なってみてよ、エリー」
「そうだな、見せろよ」
『えっ……それは〜ちょっと…うーん』
「もったいぶるなよ」
「そうさ!どうせ満月の夜には会うことになるんだし」
『絶対に笑わない?』
「「笑わない」」
『じゃあ…いいわ、見てて』


神経を集中させて…私は変身する…


「おぉ…凄いな…」
「本当になれたんだ…」
『クゥー』
「それにしても…でかいな」
「うん、大きいね」
「これ扉通るのか?」
「ギリギリ…じゃない?翼畳めば…うん」


もういい、かな?
この姿だと話せないから一度元に戻ろう


『ね?なれたでしょ?』
「うん、さすがだよ」
「かっこいいな、エリーの」
『えっ、そうかな?』
「あぁ、ヒッポグリフだろ?
 誇り高き…鳥?一応、鳥なんだよな?」
「さぁ?でも飛べるっていいね!便利じゃないか!」
『うーん…まぁそうなのかな?(笑)』


リーマスのためになったアニメーガスだから
そんなことまで考えてなかったんだけど、ね(笑)


「俺達も頑張らないとなぁ」
「そうだね、より一層頑張るかぁ…」


しばらくは悪戯もお休みかな
そう呟いたジェームズに少し驚いたのは内緒


「あと一週間もないしね。次の満月まで」
『もう私がいるから安心じゃない?』
「女の子1人で行かせる訳にはいかないよ」
「危険だしな」
『…変な所ジェントルマンなんだから』


女の子扱いされてちょっと照れたのは内緒だ


「とにかく頑張るさ!シリウス、勝負だね!」
「ふんっ、望むところだ!」
「言っとくけど、僕の方が進んでるんだからね」
『頑張ってね(笑)』
「あー、そういえばエリーがいない間に進展が」
「あぁ…そうだったな…」
『なになに?』
「ピーターも仲間に入れたんだ」
『ペティグリューも…?』


私は正直ペティグリューは好きじゃない
自分に自信が無くて、いつもジェームズや
シリウスに庇ってもらって隠れている
イメージしかないからだ。
自立をしようとしてないから、かな?


「ピーターもリーマスの事を心配しているしね」
「ジェームズと交代で厳しくやってるんだけどな…」
「そう、なかなか進まなくてね」
『…ペティグリューには悪いけど、無理じゃないの?』
「成績悪いからな」
「まぁまぁ。良かったらエリーも見てあげてよ」
『……考えておく』


私達は少しの作戦会議を終えて、
また狭い透明マントに入って寮に戻った




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