12

『ん…寝てた…』


目を覚ますと太陽はもう高い所にいた
外では小さい子、きっと1年生たちね
元気よく走りまわって遊んでいた

私とリリーも昔はああやって遊んでいたわね…
ペチュニアも一緒に三人で…
昔みたいにまた仲良く出来るかしら…?


「呪文ごっこやろうぜ!」
「いいぜ!おれが悪者なっ!」
「おうっ、かかってこい!」
「クルーシオ!」
「うおおお!」


単なる子どもの可愛い遊び。
それでも私の記憶を呼び起こすには十分だった

暗い部屋で拷問された記憶
それが私を苦しめる


『あ…あ…ぁぁあああ!』


やめてっ、来ないでっ…!
怖い、怖い…助けて…
りりぃ…せぶ…しりうすっ!!


「エリー!!」
『…っ!?いやっ、離してっ!!!』
「俺だ、落ち着けっ、大丈夫だから!」
『し、しりう、す…』


私の腕を掴んで抱きしめてくれたのはシリウス
今…助けて欲しいと願った彼だった


「大丈夫、俺がいる…」
『うっ、うう…(泣)』


落ち着くまでシリウスに抱きしめられていた
シリウスは凄く暖かくて、落ち着く…


『ごめんっ、シリウス』
「もう大丈夫か?」
『うん、ありがとう』
「フラッシュバック…か」
『うん…多分…』
「そうか、無理するなよ」


ポンポンと頭を撫でてくれる
シリウスといると安心する


「そうだ、昼飯はどうする?」
『もうそんな時間…?』
「あぁ、一緒に食べれそうならどうかと思って。
 ジェームズとリーマスとピーターも来るしな。」
『うん、食べようかな』
「じゃあ呼んで『待って』
「はっ?」
『シリウスはここにいて…?だめ?』
「…っ!分かった」
『? なんで目を逸らすの?』
「な、なんでもない!」


シリウスの制服の袖を掴んだまま
立ち止まったシリウスをまたベッドに座らせる
なぜだか分からないけど、いて欲しかった

私がこの気持ちの本当の意味を知るのはまだまだ先





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