私には良く分からないけど、屋敷は出たらしい
ポッターとシリウスがもういいとか何とか話してる
セブはいつの間にか合流していて呪文を唱えている
(後で知ったけど、ダンブルドア先生が特別に魔法省に言って
治癒魔法をセブが外で使えるように許可を貰っていたそうだ)
アヴィ先輩は相変わらず下を向いてて…
ずっと唇をかみしめている


『アヴィ先輩…血が、出てます』
「本当にすまない…エリー…」
『何のことですか…?』


なんだか上手く話せないや…
口が重い…。


「エリー、飲め」
『セブ…なに…』
「体力の回復を促す薬だ。僕が煎じた」
『ん、飲む』


セブとアヴィ先輩に支えられながら薬を飲む
身体がポカポカしてきた、気がする


「大丈夫かい?」
「顔色はましになった」
「分かるの?」
「……たぶん」
「ふんっ」


ぼーっとする頭で目の前のやり取りを見つめる
ずいぶん前のことのように感じる
私は…助かったんだ…

つーっと涙が流れる
涙をぬぐう元気もなくて、ただ流れるけど
アヴィ先輩が綺麗にふいてくれている


「エリー…まだホグワーツじゃない。
 だからもう少し、我慢してくれ。
 すぐリリーに会わせる…だから泣くな」
『う、ん…』
「少し寝ていて…学校についたら起こすよ」


ポッターが私に杖を向ける
少し怖かったけど、すぐに眠りに落ちた



そして次に目が覚めた時には医務室にいた


『り、りぃ…』
「エリー!!あぁ…本当に…」
「リリー、僕がマダムを呼んでくる」
「うん…エリー、本当にごめんなさい
 私があの時寝ていなかったら…」
『なんで…?りりぃ、わるく、ない』
「無事で良かった…本当に心配したのよ…?」


リリーが泣いている
また、泣かしちゃった…


「エバンズ、少しどいてくれますか?」
「マダム…でもっ、私…」
「検査をしなければ」
「リリー、横にどいていよう」


セブに手を引かれしぶしぶ離れるリリー
リリー、凄く細くなってる…
目も真っ赤。可愛い顔が台無し…


「意識はハッキリしてますか?」
『はい…でも、あの…話にく、くて』
「すぐ治りますよ。さぁ、これを飲んで」
「エリーはどうなるんですか?」
「聖マンゴ病院に行って貰います。
 こんなにひどいケガをしているんです…
 許されざる呪文の副作用も見てもらわなければ」
「そんな…っ!」
「そうするべきだ。何かあっては困るだろ」
「でも、もう離れたくない…っ」
「あなたは行けませんよ、エバンズ」
「マクゴナガル先生っ!」
「あなたはここで、勉強しなければ」
「でも先生っ!私の双子がこんな目に
 あっているのに一人残って勉強なんて!」


リリーが涙ながらに訴える
セブはリリーの肩を抱いて支えてくれている
マクゴナガル先生も困った顔だ


「これは決定事項ですよ、エバンズ」
「ダンブルドア先生の、ですか?」
「えぇ、えぇ。そうですとも。」
「エリーには誰が付き添いを?」
「強力な闇祓いを2名。それからお母様を」
「ママ…?」
「えぇ、看護をしたいと」
「お母さんがいるなら安心だろ、リリー」
「そうだけど…」
「エリーも一人にはならない」


リリーはこちらを見る
うまく動かない顔を必死に動かして笑う
リリーは余計に泣きだしてしまった…
あれ、そんなにへたくそだったかな…


ママと闇祓いが2人いるなら私も少しは安心
それに"ここ"じゃ十分な治療が出来ないのも
簡単に想像できるから、聖マンゴに行くべき

でもその前に……


『リリー』
「どうしたの?エリー」
『アヴィ先輩を呼んで』
「……どうして?」
『話を、きかなくちゃ…』
「今は無理よ」
「ダンブルドア先生と話している最中だ」
「とりあえずもう一度眠りなさい。
 さぁ、この薬を飲んで。起きたころには
 話しやすくなっているはずですからね」


マダムに薬を飲まされると、
もっと話したいことも
リリーに伝えたいこともあったのに
恐ろしいくらい早く眠りについた






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