それから数日、リリーとは少し気まずい時間を過ごしたが
ホグワーツに帰る頃にはすっかり元通りになっていた


今回のホグワーツ特急への見送りはママだけだった
パパは仕事だし、ペチュニアも学校があるから。


「気を付けて行くのよ」
『またね、ママ』
「ママも気を付けてね」


ホグワーツ特急に乗り込む
二人でママが作ってくれたお菓子を食べながら
ワイワイ話していると、コンパートメントが開いた


「やぁ、君達かな?エバンズ姉妹と言うのは」
「そうですけど…あなたは?」
「いやいや、僕の事より君達のことを聞きたい。
 リリーとエリーはどちらがどちらかな?」
「リリーは私で」
『エリーは私ですけど』
「そうか、そのブローチが見分け方だったね」
「えぇ」
「これをあげよう。私の手作りのお菓子だよ」
「え?でも悪いです…」
「いいんだ。今みんなに配っているんだよ」
「そうですか…それじゃあ…頂きます」
『ありがとうございます』
「うんうん、それじゃあまたね」


そう言ってチョコマフィンを渡すと
その男の人は去って行った


『…誰かしら?』
「さぁ?知らないわ」
『美味しそうなチョコマフィンね』
「食べようかしら」
『私も…!』


二人でチョコマフィンを一つずつ食べ
また会話を続けていたけれど…
とても眠くなってきた。
リリーもあくびをして眠そう


「ふわぁ…眠いわね」
『私もよ、リリー。お腹いっぱい…
 まだホグワーツまであるし一眠りしない?』
「そうね、おやすみ。エリー」
『おやすみ、リリー』


おやすみを言って目を閉じると
驚くほどすぐに眠りに落ちた。



<リリーSide>

ホグワーツ特急がホグワーツに着き、
ハグリッドの声で目が覚める。
お寝坊さんの双子を起こそうと前を見ると
エリーはそこにはいなかった。
……先に行ったのかしら?
そう思って外に出てみるけど、それらしき人はいない


「あ!セブルス!」
「リリー。一人か?エリーは?」
「それがいないの。目が覚めたらいなくて…
 セブも見てないのね?ポッターかしら…」
「ポッターならあそこにいる。ブラックと」
「ポッター!!」
「リリー!」


ウザいくらい速いスピードで来るポッター
クリスマスパーティの時も思ったけど
ポッターの私への執着心は異常ね。
こないだはその執着心に助けられたのだけど。


「エリーを見なかった?」
「見てないよ」
「そう、ありがとう」


どこにいったのかしら?
どうやら荷物も引き取っていないみたいだし…
最後にもう一度ホグワーツ特急の中を探してから
セブに手伝ってもらって自分の荷物と一緒に
エリーの荷物もホグワーツに運ぶ。
エリー…どこなの?





< エリーSide>


ん…なんだか寒い…
それに…痛い…

痛い…?


ホグワーツ特急ではありえない感触を感じて目を開ける
……うん、ここどこ?


「お目覚めか?」
『え…?』


誰かの声が聞こえて、顔をあげると赤い目
どうして…ここに…


「ほぉ…俺様のこの魔力が分かるか。小娘
 そういえばノクターン横丁で見つけた時も
 俺様を見て逃げたそうにしていたな…?」
『…あなたからは危険な感じがする』
「素晴らしい。実に素晴らしい。」


その男は私の前で両手を広げてにやっと笑った


「俺様には分かる。お前は不思議な魔力を秘めている」


そう言われてどきりとした
密かに練習していた閉心術を試みるが
全てを隠すことは出来ないだろう。
夢見の力だけでも隠せれば…


「俺様が誰だか知っているか?」
『……いいえ』
「ヴォルデモート卿だ」


……誰かこれは悪夢だと言って…
どうしてこんなことに…
ホグワーツ特急に乗っていたはずなのに。
ついに捕えられてしまった。


『どうして私を…?』
「貴様には不思議な魔力がある。
 それを利用する手はあるまい…
 俺様は貴様一人が欲しかったのだ。」


マグルの血など、多くはいらぬ
そう吐き捨てたヴォルデモート卿。
リリーは連れて来られてはいないと
言うことなら少しは安心出来る。
きっと異変に気付いたリリーが先生達に
ダンブルドア先生に助けを求めてくれる。
大丈夫、きっと助かる…

すると一人の男が入ってきて、
ヴォルデモート卿に耳打ちをした


「今日は夜も遅い。そのまま眠るがよい」


ヴォルデモート卿はそれだけ言うとすぐに去っていった
…ベッドも何もない場所で寝なくてはならないなんて。
そう思っていたら女の人が来て、簡易ベッドをくれた

私はそこに寝転がり、胸に手を当てて念じた

私は大丈夫よ、安心してリリー…

リリーに届くように、心をこめて。
しばらくするとリリーからの返事が来たように
私の胸が暖かくなったから、リリーにおやすみを言って
簡易ベッドの中で眠りについた




[ 50/216 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]