そしてとうとうクリスマスパーティの日
私とリリーは家に戻って来ていた。
今日はセブの家の煙突から、フルーパウダーで行く
リリーとお揃いのドレスを身にまとう
今日は髪型もメイクもブローチも全て同じ
本当はいつものブローチを付けて行きたかったけど
残念ながらドレスに似合わなかった。

今日の私とリリーを見分けられる人は
そうそういないだろう。


『「いってきます」』
「クリスマスパーティ楽しんでね」
「悪い男に引っかかるんじゃないぞ」
『「はい、パパ、ママ」』
「いってらっしゃい」
「またね、ペチュニア」
『楽しんでくるわ』


リリーと手を繋いでセブの家へと向かう
今日はクリスマス。
みんなが着飾っているから、全てお揃いの
私達を不思議そうに振り返る人なんて誰もいなかった


「セブ!お待たせ」
「リリー、エリー…何もかも同じなんだな」
「そうよ!これでどっちがどっちか分からないでしょ?」


実はダンブルドア先生にも
キツく気を付けるように言われている。
赤い目も夢も…先生いわく、嫌な予感がすると。
セブも心配そうにしているし…
リリーの心配性はいつもだけど(笑)


「二人とも綺麗だ」
『「ありがとう、セブ」』


フルーパウダーを使ってカルロッタ家の
お客様用暖炉まで飛ぶ
セブ、私、リリーの順番で。


『わぁ…凄いクリスマスツリー…』
「マルフォイ家のツリーはもっと凄いぞ」
『そうなの?いつかは見てみたいわね』
「マルフォイ家なんて行かせる訳ないでしょ?」
『分かってるわよ、リリー』


夢見の力が相手に渡ってはいけないことは百も承知
いくら未来は選べないと言っても夢見の力は絶大だ。
魔法界の未来がかかっているもの。
そんな危険を侵してまで、マルフォイ家の
クリスマスツリーを見に行くなんてことはしない


「…機会があれば写真を撮って来よう」
『本当!?』
「あぁ」
「ブラック家のツリーも負けてないさ」
「派手なだけだろ」
「チッ。ポッター、ブラック…」
「やぁ、スニベルス。今日も真っ黒だね」
「俺達が来たからあっち行けよ」
「お前に言われる筋合いはない」
「リリー!エリー!今日はとても素敵だね
 全てがお揃いなのかい?本当にそっくりだ」
『アヴィ先輩!今日はお招きありがとうございます』
「来てくれて嬉しいよ。セブルスも」
「僕もカルロッタ家のパーティに来れて光栄です」
「それにしても、まさかブラック家のご長男が
 来てくれるとはね。意外だったよ」
「招待状を頂きましたので…友人を連れて参りました」
「ポッター家の子だね。君達は有名だから知ってるよ
 ……色んな意味でね(ウィンク)」
「ありがとうございます、カルロッタ先輩」


こうしてみると、ポッターもシリウスも
ちゃんと礼儀正しく出来るのね…
普段の姿からは想像出来ないけど。


「セブルス、ルシウスがあちらで待ってるよ」
「分かりました。リリー、エリー。また後で」
「早く行け」
「何か言ったか?ブラック」
「何も」
「今日は楽しんでくれ。少し失礼するよ」


アヴィ先輩は新たに来たお客様の相手をしに行った
残念そうにしているとシリウスが横から話しかけてきた


「寂しいか?」
『やめてよ、もう。それよりシリウスって
 腐っても良い所のお坊ちゃんなのね』
「腐ってもってなんだよ」
『びっくりしちゃった』
「エスコートしましょうか?お嬢様」


片腕を少しあげて腕を通せるようにするシリウス
リリーとポッターもドリンクを取りに行ったようだし
私もシリウスの腕に腕を絡めて歩き出す。
もっともポッターはリリーの後を追いかけているだけで
エスコートもくそもなかったけれど(笑)
それにしてもポッターには本当に驚かされる
この瓜二つの格好でも私とリリーの見分けがつくなんて。
そうシリウスに言えば、
見た目だけだと俺にはさっぱりだ
と素直に話してくれた。


そしてカルロッタ家の当主の挨拶でパーティは始まる
素敵な音楽が流れ、中には踊る人たちもいた
私は蜂蜜酒を飲みながら言いつけ通り
誰かの側を離れたりはしなかった。
とっても楽しいパーティは終盤にさしかかり
リリーはアヴィ先輩に誘われ、外に行ってしまった
ポッターは当然それを追いかける
シリウスは知り合いの貴族に捕まっている
……どうしようかな
一人になっちゃったわ。
近くにシリウスはいるし、大丈夫かしら
そう思って一人で蜂蜜酒を飲んでいた
たまにされるナンパを交わしながら。
するとしばらくしてセブがやって来た


「リリーは?」
『アヴィ先輩と外へ』
「ポッターとブラックは?」
『ポッターは追いかけて行ったし、シリウスはあそこよ』
「チッ。役立たずめ」
『仕方ないわ。ブラック家は由緒正しき家柄で
 シリウスはそこの長男なんでしょう?
 挨拶もきちんとしないと…シリウスは立派だわ』
「僕はそうは思わないな。
 元々ブラック家はスリザリンの家系だ。
 グリフィンドールに行くなんて
 本来ならば考えられないことなんだぞ」
『そうなの?そう言えばシリウスは家が嫌いだって
 ずっと言っているわね…ブラックと呼ばれたくないと』
「ふん。純血一族に生まれて何が不満なんだ」
『きっと私達には分からない苦労があるのよ』
「それよりエリー、話がある」
『なに…?』


セブが私の耳に近付こうとした瞬間。
ノクターン横丁で感じた寒気がまたした
ゾワっと背中を駆け上るような…
ふと顔をあげるとそこには赤い目…
誰かを探しているようだ
なぜだか見つかってはいけない気がして
慌ててセブの影に隠れる


「…どうした?」
『夢で見た赤い目が…いる…』
「そんな、まさか…」
『だめ、振り向かないで』
「あぁ。分かった…」


ひっそりとしていると、赤い目の男は消えていた
どうやらどこかへ行ったようだ。


『もういない…?』
「みたいだな」
「おい、スニベルス…」
「ブラック…貴様…エリーの側にいろと
 あれだけ言っていただろう!!」
「は?なんで俺に怒るんだよ!
 じゃあお前がずっと側にいればいいだろ!」
『ちょっと!喧嘩しないでよ!』


セブとシリウスの間に入っていると
ポッターがリリーと帰ってきた


「大丈夫かい?リリー」
「大丈夫だから、放っておいて」
『どうしたの?リリー…』


私と目が合うとチクリと痛む心
リリー…アヴィ先輩と何かあったの…?
私を見てこんなにも心が悲しむなんて。


「…後で話すわ。帰りましょう」
「そうしよう。こいつらといると虫唾が走る」
「それはこっちのセリフだ」


ポッターとシリウスにお別れを言い
お客様用暖炉を使ってセブの家へ。
リリー、私、セブの順番で帰った


「エリー、私…アヴィ先輩に告白されたの」
『そう…なの…?』


これがチクリとした理由…
アヴィ先輩はリリーを選んだ
どうして上手くいかないのだろう…

セブも、ポッターも、アヴィ先輩も…
みんなリリーを選ぶ。
同じ双子なのに…ね…


「ごめんなさい、エリー。私…」
『どうして謝るの?リリーは悪くないわ』
「私はアヴィ先輩のことは何とも思ってないから
 もちろんお付き合いはお断りしたわ。」
『そうなんだね…分かった』
「エリー…その…」
『リリー。今は放っておいて。
 少しセブと話してから帰ってきて?ね、そうして』
「エリー…」
「送らなくていいのか?」
『うん、セブはリリーといて』


リリーを残し、家に帰る
ママに話しかけられたけど、疲れたから寝るとだけ伝え
ペチュニアにベッドを借りて潜り込んだ
今日は、今日だけはリリーとは寝れない。

人生初めての恋は、クリスマスの夜に儚く散っていった





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