10

「エリー、こっちだ」
『お待たせ、シリウス、ポッター』
「いらっしゃい」
「大丈夫だったか?」
『うん、リリーはすっかり夢の中よ』
「目覚めてまだ5日目なのに悪いね」
『ううん、毎日補習を受けてるおかげか
 魔法のかけかたが上達してる気がするの(笑)』
「それは良かった。僕としても早く目覚めたいからね」
「せっかくの週末だしな」
『善処するわ』


今日はリーマスのための眠りの呪文を練習する日
明日はちょうど土曜日だから、
もし寝過ごしても授業への影響がない
だから今日、二回目のポッター実験を行う


『大丈夫よ、ポッター。
 昨日、ルームメイトの猫に呪文をかけたけど
 次の朝には起きてたもの、だから大丈夫。多分…』
「お前…勝手にかけたのか?」
『しょうがないじゃない、目の前にいたんだもの』
「エリーって結構、やるんだね(笑)」
『褒められてる気がしないわ』
「最高級に褒めてるのに」
「さっさとかけちまおうぜ」
「シリウス、君、他人事だと思って」
「他人事だし」
「ひどい!!それでも親友かい!?」
『はいはい、準備してポッター』


私としてもリリーにベッドを抜け出しているのを
バレるわけにはいかない身なわけだし。
なんといっても明日は両親とペチュニアが来る
しっかり寝ておかないとまた余計な心配かけちゃうわ


「よろしく頼むよ、エリー」
『はいはい…』


ソファに横たわったポッターに眠りの呪文をかける
ポッターは最後「リリー、夢でも会いたいな」と
何とも気持ちの悪いセリフを吐いて眠りに落ちた
ポッターじゃなければロマンチックなのに。


「よし、ちゃんと寝てるな」
『シリウスはどうするの?ここに残る?』
「あー、どうすっかな…」


リーマスへの言い訳を考えているのだろうか
ポッターを見て悩み出したシリウス
どうせペティグリューにはごり押しするんだから、
シリウスからの言い訳は必要なさそうだ


『どうするの?私もあまり長居は…』
「とりあえず戻るか。お前一人じゃ危ないしな」
『え?危ないことなんてないわよ』
「また倒れても困るだろ。それに一人で
 校内歩いてるの先生に見つかったらどうすんだよ」
『か、隠れる…?』
「隠れる?(笑)」
『ちょっと!笑わないでよ!』
「悪い(笑)」


そう言ってシリウスは笑いながら私の頭を撫でた
くしゃくしゃっとちょっと不器用に。
……元はイケメンなんだからそういう仕草
凄くドキっとするから辞めて欲しい…


「俺がいればなんとかなるだろ、行くぞ」
『あ、うん…』


庇ってくれるつもりなんだろうか?
シリウスといい、ポッターといい…
ふとした瞬間とても優しいのよね…
セブにもそうしてくれたらいいのに


『ねぇ、シリウス』
「なんだ?」
『セブと仲良く出来ない?』
「出来ねぇ。」
『そんな即答しなくても…』
「だいたいあいつは気に入らねぇんだよ」
『何が気に入らないのよ』
「……何でもだよ。」
『何それ。セブも良い人なのに』
「あいつはスリザリンだぞ?目を覚ませよ」
『目はもう覚めてるわよ』
「いや、まぁそうだけどよ…」
『いじめないでね…?』
「…あいつの態度次第だな」
『もうっ、シリウスっ!』


その時、心が大きく飛び跳ねた


「…?どうした?」
『リリーが起きた、かも…』
「は?」
『双子だから分かるの、気持ちが高ぶるとなんとなく…』
「…まずいな、寮までもう少しあるぞ」
『どうしよう…』
「とりあえず急ぐぞ」


シリウスに手を引かれ走る
一応カモフラージュはして来たけど、布団を剥がされたら
一発でバレてしまうカモフラージュだ。
どうしようどうしようどうしよう。


「着いたぞ」
『はぁ…はぁ…疲れた…』
「出来るだけ息整えろよ」
『うんっ、』


シリウスの手を離して絵をくぐる
談話室には誰もいない…


「セーフか?」
『分からない…』
「エリー…?そこにいるの…?」
『り、リリー…』
「ダメじゃない、起きてちゃ。」


ちょうどリリーが女子寮から降りて来た
シリウスに隠れてと手で合図をする
ソファの影に上手く隠れてくれた


「ベッドにエリーがいないからびっくりしたわ」
『ごめんね…凄く喉が乾いちゃって…』
「あら、何か飲んでいたの?」
『うん、今からベッドに戻る所よ』
「そう…一緒に戻りましょう?」
『分かったわ』


リリーに見えないようにシリウスに手を降る
シリウスにもちゃんと見えたようで頷いてくれた
階段の上で待っているリリーの元へ走る


「走らなくてもいいのに(笑)」
『眠いもの』
「早く寝ないと明日はお昼寝出来ないんだから」
『そうね、楽しみだわ』


リリーと手を繋いで女子寮に入る
すぐにベッドに入ったけど、すぐには眠れなかった




[ 34/216 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]