長い、長い、夢を見た

昔みんなで遊んだ夢
ホグワーツ生活の夢
今まで見た予知の夢
新しい未来である夢
そして、最悪の未来

ヴォルデモートの夢も見た
マグルを捕まえ、苦しめ、殺す夢
残虐な、すぐにでも忘れたいような夢

色んな夢の中をぐるぐるぐるぐる…
夢に囚われて、いくらもがいても抜け出せない

そんな時、ひとつの小さな光が見えた
手を伸ばしても届かなくて…
もう諦めよう、そう思った時。
小さな光からリリーの声がした

帰らなきゃ…
私は小さな光に向かって走りだした
近付けば近付くほど大きくなる光

ついに光にたどり着いた


「…っ!…きて…お願いよ、エリー…」
『…っ…!』
「エリー!大丈夫なの!?
 あ、あぁ、マダムを呼んでくるわ!」


目を開ければ私の手を握るリリー。
リリーの名前を呼びたかったけど、声が上手く出なかった
ここは…医務室…?
外が明るいな…


「あぁ、Ms.エバンズ。起きたのですね
 さぁさぁ、これをお飲みなさい。
 声が上手く出るようになりますから」


マダム・ポンフリーにゴブレットを渡された
凄い…なんで分かったんだろう?
ゴブレットの中身を飲むと、喉がすーっと
爽やかになっていく感じがして…


「声を出してごらんなさい」
『あ、あー…』
「大丈夫そうね…まったく、無茶をしすぎですよ!」
『すいませんマダム…私は一体…』
「魔力の枯渇です。使いすぎですよ!!」
『魔力の枯渇…』
「今あなたのお姉さんがダンブルドア先生と
 マクゴナガル先生を呼んできています。
 きちんと理由を説明するように。
 その後はしばらく入院です!いいですね?」
『あ、はい…分かりました……』


魔力の枯渇…
何をしててそうなったんだろ…
頭がぼーっとしてて、思い出せない


「校長先生、こちらですよ。
 目覚めたばかりですので、手短にお願いします」
「分かっておるよ」


あー、怒られたらいやだな


「エリー、気分はどうかな?」
『まだ頭がぼーっとしていて…
 えっと、正直記憶が思い出せないです』
「そうじゃの、すぐには無理じゃろう
 思い出せたら何をしていたか教えてくれるの?」
『あ、はい…』
「今日はゆっくり休みなさい」
『あ、先生。待って下さい』
「なんじゃ?」
『夢の話を…』
「…また今度にしようかの?
 あまり長いとマダムに怒られてしまう
 そうじゃの…元気になったらお茶を飲みに
 校長室へおいで、その時に…」


ダンブルドア先生はそういうとお茶目にウィンクをして
医務室を出て行ってしまった。
マクゴナガル先生が近付いてくる


「心配しましたよ、エリー」
『ごめんなさい、先生』
「あなたは三ヶ月も眠っていたのですよ」
『さ、三ヶ月もっ!?』
「えぇ!そうですとも!
 何をすればそんなに魔力を使うことがあるのですか」
『すいません…』
「眠っていた分の補習をしなければなりませんよ
 今日はゆっくり休んで、退院したら補習ですからね」
『分かりました。あの…リリーは…』
「授業があるので戻らせましたよ。夜に来ると」
『ありがとうございます』


そしてマクゴナガル先生も出て行き
マダム・ポンフリーも患者と自分の分の
朝ごはんを取りに行った


『あー、リリー怒ってるだろうなぁ…』
「僕たちも心配したよ、エリー」
『…!?え!び、びっくりした…』


隣のベッドからリーマスの声
カーテンがしてあるから、見えないし
誰かいるなんて思ってもいなかった
シャッ、とカーテンを開ける
……傷だらけのリーマスがそこにはいた


「急に開けたら驚くじゃないか」
『あ、ごめん…開けて欲しくなかった?』
「もういいよ(笑)」


弱々しく頬笑むリーマス
昨日は満月だったのかな…
ベッドの中にいるから体は見えないけど
顔だけでこれほど傷があるなら体の傷もひどそうだ…


『酷い傷ね、大丈夫…?』
「大丈夫だよ、心配しないで
 エリーこそ大丈夫かい?」
『うん、もう大丈夫よ。それにしても…
 三ヶ月も眠ってただなんて…びっくりだわ』
「もう目を覚まさないかと思ったよ
 本当に心配した…無事で良かったよ」
『ごめんね、リーマス』
「無事ならいいんだ」
『リリーにも心配かけちゃったわ』
「エバンズは毎日医務室に来てたみたい
 こないだはスネイプも見かけたし…」
『過保護二人組に怒られちゃうわ』
「仕方ないよ(笑)」


肩をすくめるとリーマスも笑ってくれた


夜までリーマスとお見舞いのお菓子を食べたり
誰かが持ってきてくれた本を読んだり
リーマスとお話したり昼寝したり…
のんびりとした優雅な時間を過ごした…

最近こんなゆっくりしてなかったなぁ…
そう思った。





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